>  >  >  >  > ヒップホップ界の名物集団MSCのPRIMALが、6年ぶりのソロアルバムを発表
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評価:

 当時、日本のヒップホップ雑誌の権威といっても過言ではなかった「blast」(シンコーミュージック・エンターテインメント)から、2002年に生まれたコンピ『Homebrewer's』で、最も注目を浴びたMSC。その楽曲は、シーンに衝撃を与えた。

 MSCが登場するまでの日本語ラップは、メインストリーム色が強いものが多かった。もちろん、ZeebraやBUDDHA BRAND、KICK THE CAN CREWと多種多様ではあった。さらに言えば、MICROPHONE PAGERのように、D.I.T.C的な、ミドルスクール感ある曲もあった。

 だが、例えるなら、イベントがスタートしたばかりの時間にクラブで流れているような、重厚で暗いトラックを耳にすることはなかった。MICROPHONE PAGERの「病む街」のように、そういったにおいを感じた曲はあったが、MSCはそれ以上にアンダーグラウンドだった。そして、2003年に発表したファースト・アルバム『Matador』で色と知名度を確固たるものにする。

 そんなMSCの中心人物であるPRIMALのデビューアルバムとなった『眠る男』は、MSC感とBUDDHA BRAND感の融合した新しいものだった。BUDDHA BRANDのDEV-LARGEがプロデュースした「武闘宣言」はクラシックの出来栄えで、「ブッダで休日」も高い評価を受けた。

 そこから、6年を経たセカンドアルバム『Proletariat』

 今作でもキエるマキュウのMAKI THE MAGICプロデュース「武闘宣言2.0」や「MS Pride」が期待を裏切らない。またカニエ・ウェストのような「Proletariat」、映画のエンディングのように美しいピアノが聞こえてくる「共倒れ 」は、首だけでなく、タクトを振りたくなる。

 アルバムとしての構成も完成されており、「共倒れ 」をラストにせず、フックの裏で聞こえてくる子どもたちの声に胸騒ぎを覚える「岐路」で締めくくるのがMSC、PRIMALらしい。

 欲を言えば、もう少し"絵"を見せてほしかった。"絵"が見えるとは、聞きながらその情景が浮かぶこと。今作でいえば、「アンパンマンより斬新」のフック、「おむつがとれるまで」にそれがあった。その反面、「大久保Street」からは大久保の絵が筆者には見えてこなかった。MSCからの流れで、新宿界隈の地名が出てくると、裡面、エミネムの「8Mile」のような"絵"を期待してしまう。もちろん、筆者の個人的な意見ではあるのだけれども。

 そういった意味で、PRIMALやMSC好きは裏切らないアルバムではあるが、ファーストインプレッションでは『眠る男』ほどの衝撃は受けなかった。2作目だから、当たり前なのだが。

 ということで、厳しめに5段階中3点としたが、聴いてほしい作品というのも付け加えておきたい。

■HIPHOPJOURNAL編集部
2009年に創刊し、「拝啓、日本語ラップ」を"hiphop-dl"などに配信した日本語ラップ専門のブログメディア。得意ものはインタビューや独自の切り口からのニュース。レビューは編集部に芸術感がないので、参考程度に。ウェブサイト

Proletariat

MSC のメンバーとしての活動や傑作ソロ・アルバム『眠る男』のリリースでその名を知られるシーン屈指の巧者、PRIMAL。実に6 年ぶりとなるセカンド・アルバム『Proletariat』にはMSC から漢、02、TABOO1、さらにはメシアTHE フライ、MAKI THE MAGIC、DJ TAIKI、ILLCIT TSUBOI、DJ HIROnyc、DJ BAKU、OMSB らが参加。

Proletariat

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