>  >  >  >  > 失恋描写がリアルすぎ!? 西野カナの新曲「涙色」は若き恋愛中毒者向け
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評価:

 西野カナ。編集部からレビューを依頼された時点で何らかの悪意を期待されている気がするが、冷静に聴きました。うん、いい曲じゃないですか。

 別れたカレを思う失恋ソング。ヒットの大半がそのパターンだが、歌声と「せつなさ」のマッチングが非常にいいことを本人もわかっているのだろう。たとえばカップリング二曲目はアヴリル・ラヴィーン風のアッパーチューンだが、やたら元気な高音域がキンキン響くのはよろしくない。どこか人工的な彼女の声は、ディスコ・サウンドやヴォコーダー処理が加わると本当にプラスチックのようで、何の情感も感じられなくなってしまうのだ。

 対して「涙色」のせつなさは本当にいい。柔らかく震える声。歌い始めのブレス、歌い終える余韻の残し方。すべてが曲のストーリーに寄り添っている。優しかったカレと、「知らないバンドも好きになって/ヒールはあまり履かなくなって」しまうほどカレ色に染まることが嬉しかった自分。具体性はあるし、主人公が「恋してる私、が大好きな自分」に多少酔っていることも歌詞に織り込まれている。まるでケータイ小説だと笑う人には、10代のころ本気で失恋したことがないのかを問うてみたい。毎回「あんなに誰かを好きになることはない」と思うほど真剣だが、のちのち考えればけっこうアホらしい。若き日の恋愛は概ねそういうもので、彼女のリスナーはおしなべて若き恋愛中毒者なのだ。

 西野カナはファンの気持ちを完璧に受け止め、毎回ストーリーを作りながら本気のせつなさを絞りだす。別れた後の歌なのに、あえてサビに持ってきた「大好き」の一言。そこに滲ませた想いの濃さには本気でしびれた。

 だからこそ三曲目「can't stop, won't stop」はキツイというより腹が立つな。女の子ってみんな可愛くて甘いものが大好きだよねー、という雑な歌詞は「やっつけ」以外の何物でもないだろう。と思ってクレジットを見ると、この曲だけ西野以外にも作詞者が。共作者はもっと吟味したほうがいい。

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

涙色(初回限定盤)(DVD付)

デビュー5周年にあたる2013年第2弾シングルは、 西野カナならではの柔らかい歌声が、優しくかつしっかりと心に響く ハートウォーミングな1曲です。

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