『わたしの幸せな結婚』好スタート 半年ぶりの実写日本映画興収30億超えなるか?

『わたしの幸せな結婚』好スタート

 先週末の動員ランキングは、塚原あゆ子監督、目黒蓮主演の『わたしの幸せな結婚』が、オープニング3日間で動員47万9736人、興収6億5368万3440円をあげて初登場1位となった。先週の本コラム(春休み興行、本番突入 勝つのは『わたしの幸せな結婚』か『シン・仮面ライダー』か?)で、同じ実写日本映画ということで対決アングルとして取り上げた庵野秀明監督・脚本の『シン・仮面ライダー』のオープニング3日間の成績は、動員が34万5446人で興収が5億4190万3750円。初日の金曜日が18時の回からという変則的な公開形態だったとはいえ、週末を通して全国劇場における座席数では『シン・仮面ライダー』がすべての作品で最も多くの座席が割かれていたことをふまえると、勝負の軍配は『わたしの幸せな結婚』に上がったことになる。

 単独主演作としては『わたしの幸せな結婚』が初めてとなる目黒蓮だが、直近の出演作としては2022年12月公開の『月の満ち欠け』があった。オープニング3日間での興収比では、『わたしの幸せな結婚』は『月の満ち欠け』の約185%と、短期間にもかかわらず非常に高い伸びを示している。『月の満ち欠け』公開時には、既に目黒蓮主演のTVドラマ『silent』(フジテレビ系)の社会現象化は起こっていた(むしろその真っ最中だった)ので、この違いは考察に値するだろう。

 まずは企画の違い。いずれも物語の中で恋愛要素は大きく占めているものの、一方は文芸作品の映画化、一方は人気ラノベの映画化。次に、準主演と主演作の違い。さらに、松竹配給と東宝配給の違いも見逃せないポイントだろう。また、初動ではそこまで顕在化しないものの、作品の評価や満足度は今後の推移に大きく影響する。『月の満ち欠け』の累計興収は約12億円。作品の仕上がりも良好な『わたしの幸せな結婚』はその2倍の24億円を超えるのは確実、最終的には30億円を狙える興行になると予想する。まだ正式なアナウンスはないものの、今作の結果を受けて続編製作の機運も大いに高まるだろう。

 現在のところ実写日本映画で最後に興収30億円を超えたのは、2022年9月に公開された同じ東宝配給の『沈黙のパレード』となるが、その累計興収がピッタリ30億円。東宝は大台超えが狙えそうならば、劇場のスクリーン割りや座席割りが許す限り作品を延々ロングラン上映する傾向がある。それも、30億円超えを予想する理由の一つだ。

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