坂口健太郎、『おかえりモネ』菅波は当たり役に 『とと姉ちゃん』と異なる結末なるか

坂口健太郎、菅波先生は最高の当たり役

 生まれ育った島に戻り、家族や同級生と再会したことで天気のことを勉強して、誰かの役に立ちたいという思いを強くした百音(清原果耶)。『おかえりモネ』(NHK総合)の第5週「勉強はじめました」では、登米へ帰るバスで偶然、坂口健太郎演じる診療所の医師・菅波と一緒になり、隣に並んで長距離を移動したことがきっかけで2人の関係にも変化が訪れた。

 菅波は登米の診療所に1週間おきにやってくるが、東京の大学病院に籍を置いている。百音に対しては厳しい言葉を投げつけたままフォローもせず、診療所に併設するカフェでの和やかな雰囲気に溶け込む様子も見せない。ドライで理屈っぽい印象を与える菅波だが、百音に対して素っ気なく振る舞っているようで、じつは様子を伺っているような繊細さもあり、無愛想なだけの単純なキャラクターではないことは確か。百音はもちろん、本作の登場人物すべてに言えることだが、簡単に自分の内面を説明するような浅い人物としては描かれていないのだ。

 バスの中で菅波の紙袋からサメのぬいぐるみが顔をのぞかせているのを見つけ、「かわいいですね。シャークタウンですか?」と、気まずい雰囲気を払拭するように百音が指を差すと「これは東京の同僚に」となぜか言い訳しつつ、サメの生態について語り始める菅波。

 また、百音がお土産のカキを「よかったら先生も食べてください。すごくおいしいですよ」と勧めても、人生で3回カキを食べて3回ともあたっているので、リスク回避のために食べないことにしているとアッサリ拒否するなど、どうやら彼は当たり障りのない世間話が極端に苦手なタイプのようだ。

 そんな菅波だが、百音が気象予報士の勉強を始めたことを知ると、難しい本ではなく最初は漫画や絵本から入るほうが向いていることを伝え、「なぜ雲は出来るんでしょう。なぜ風は吹くんでしょう」と雲を見上げながら百音が発する素朴な疑問に耳を傾け、「そこから始めればいいんじゃないですか」と、素直にアドバイスする。「ただ目の前にあるものを不思議がったり、面白がったり、そういうところから深めていったほうがいいんじゃないですか。純粋で」と言う。その一言は百音との心の距離も縮めた

 百音が診療所に併設するカフェで絵本を開いて1人で勉強していると菅波が忘れ物を取りに入ってきたことがきっかけで、2人だけの勉強会が始まる。「物事がうまくいかなくて落ち込む時、僕は何かしら新しい知識を身につけるようにしています」と言う菅波に「だから先生はいつも勉強してるんですね」と返す百音。順応性が高い百音は菅波への対応もしっかり身についている。

 「このタイミングで出すのは我ながら、あざとさを感じていやなんですが」「たまたま目についたので」と前置きしつつ、菅波は百音に中学の理科の教科書を手渡した。代金を払おうとする百音に「誕生日プレゼントです。9月生まれでしょ。1995年の台風の日に生まれたなら。しかも満月だったなら」と、少し前に交わした会話から誕生日を調べてプレゼントを用意した菅波。

 「知識は武器です。持っているだけでは何の意味も持たないし、使い方も難しい。ですが、持っているに越したことはありません」と、百音の勉強をサポートしてくれる。雨が降る仕組みについて、ただ解説するのではなく、イメージしやすいように氷を入れたグラスの結露を雨に例えるなど相手のレベルに合わせたやり方で、感覚的に物事を捉える百音の特質をも見抜いているのが分かる。

 ただ、「熱伝導」について次々に疑問が沸き起こる百音には菅波もやや困っていた。すると、いきなりカフェにやってきたサヤカ(夏木マリ)が菅波と百音をソファに隣同士に並ばせ「どう? 接してっとお互いの体温を感じっちゃ? それが熱伝導! はい、お疲れさまでした」と唖然とする2人を残し、帰っていく。腕と腕が触れていることに意識する2人。

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