『まんぷく』影のMVPは松坂慶子? 福子と萬平を支え続けた鈴さんの圧倒的存在感

『まんぷく』影のMVPは松坂慶子?

 鈴さん(松坂慶子)のことが心配で仕方がない1週間だった。

 娘たちが思わずため息をついてしまうくらい、マイウェイを貫き続ける鈴。萬平(長谷川博己)が何か新しいことを始めるたびに愚痴をこぼしたり、娘や孫の結婚相手をやたらと気にしたり、ときに些細なことで拗ねてしまったり。子どもらしさを残しつつ、お茶目でチャーミングなところがとにかく素敵な鈴は、福子(安藤サクラ)たちとともに『まんぷく』(NHK総合)の世界を大いに盛り上げてくれた。その圧倒的な存在感と魅力的なキャラクターから、『まんぷく』のMVPだと考える方もおられよう。

 そんな鈴が今週の放送で、腹部に強烈な痛みを感じ急遽病院に搬送。今週末の放送では無事退院することができたものの、多くの視聴者が固唾をのんで見守る展開であった。克子(松下奈緒)が言っていたことだが、かつて咲(内田有紀)の結婚式を前にして腹痛で苦しむふりをした鈴だったが、今回も茶番だったらよかったのにと思ったものだ。ところが今回は違った。鈴は痛みと苦しみに対し、全力で闘っていたのだった。

 思い返せば、ハンコ作り、塩づくり、ダネイホン開発、即席ラーメンの発明といった多くの功績を残してきた萬平であるが、何だかんだいって事あるごとに鈴は福子たちをしっかりとサポートし続けてきた。福子や夢枕に立つ咲に説得されて、ずいぶんたくさんの仕事をこなしてきたのだ。会社の経理を務めたり、たくさんのご飯を作ってくれたり、福子と一緒にデパートで実演販売をしたり……。彼女が汗を流してきた仕事を挙げればキリがないが、愚痴をこぼしながらも力になってくれたのが鈴。武士の娘と名乗るだけあって、福子にも負けず劣らずパワフルである。

 鈴が入院することになり、病室には多くの家族や親戚が駆けつけた。みんなが彼女の回復を願い、ただただ祈り続けたのだった。「お義母さんがいなくなったら、“この世の終わり”や」と忠彦(要潤)、「そうです。お義母さんには長生きしてもらわないと」と真一(大谷亮平)。そんな言葉を聞いて、満足そうに笑う彼女の笑顔は本当に幸せそうだった。夢の中で鈴は咲や真一たちが全然自分にかまってくれずに、不安にさいなまれることもあった。でも、「元気な鈴さんに会いたいと思う気持ちはみんな一緒ですよ」。病室だけでなく、家でも会社でも鈴のことが話題になる場面を見て、そんな言葉を掛けてあげたい気持ちになったものだ。『まんぷく』を支え続けてほしいという思いは、登場人物も視聴者も一緒だろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる