深田恭子に初めて芽生えた嫉妬 『はじこい』は人生を教えてくれる“先生”に

『はじこい』は人生を教えてくれる“先生”

「必要とされなくなるのが先生だよ。私たちは通過点なの。生徒が希望する進路に引っ張って、引っ張って、最後に手を離して見送るのが仕事」

 『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第7話では、春見順子(深田恭子)に初めて“嫉妬“を経験させる人物として、百田朋奈(高梨臨)が登場する。世界トップレベルの大学を卒業した高学歴。27歳という若さ。東大専門の有名塾で“モモちゃん先生”と慕われる人気に、担当した生徒の合格率も8割以上……と、何をとっても自分よりハイスペックなモモちゃん先生。だが、そのタイミングでは、順子の中に嫉妬心は芽生えない。

 それは、あんなにコンプレックスを感じていたはずの学歴も、焦りを感じていた年齢も、自信のなかったキャリアも、今の順子にとっては全く目に入らないという証。ハッキリと嫉妬を感じたのは、ユリユリこと由利匡平(横浜流星)の存在ただ1点だ。嫉妬は、自分で思っている以上に、強い思いを抱いていることを実感するもの。それが女の恋心からなのか、それとも講師としてのプライドからなのかは、まだ順子にはわからない。ただ証明されたのは、今の順子にとってユリユリが、それほど大切であるということ。

 ドラマは後半戦に突入し、前回の「何が大事なのかの証明問題」、前々回の「心情を読み解く現代文問題」、さらに「最大多数の最大幸福」……と、これまで学んできたことが総復習されていく。勉強してきたことが一気に繋がって応用問題が解けるように。その快感はまるで“遊園地に行った”かのようにワクワクするものだ。このドラマ自体が、見ている私たちにそんな感覚を教えてくれる。

 このドラマはユリユリの受験を通じて、順子自身がこれまでの人生でまったく手をつけてこなかった恋や人生の勉強をしているのだ。中学生レベルから学び直したユリユリのように、多くの人とはタイミングが違うかもしれない。けれど、誰かがやっているからではなく、自分にとって必要なときに必死になって学ぶのが勉強の本質。

 順子にとって婚活という応用問題に着手する前に、恋する心を理解すること。就活より前に何が自分の人生で大切なのかを見つけることが必要だった。だが、それは教科書や参考書のなかには載っていない。基礎を学ばずには、目の前で起こっている現象を整理して、理解することが難しい。

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