佐々木蔵之介、別の道を生きることを決意 『黄昏流星群』が伝える“第二の人生”への希望

『黄昏流星群』が導いた第二の人生

 激動の最終回を迎えた『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』(フジテレビ系)。完治(佐々木蔵之介)と真璃子(中山美穂)は別の道を生きることを決意する。それぞれが人生の支柱になったものを思い返し、恋愛だけでなくキャリアや生き方を見直した。完治は栞(黒木瞳)と再会を果たし、2人での新たな人生をスタートする。真璃子もまた、春輝(藤井流星)と良い関係を築き、未来への一歩を踏み出した。

 恋愛ドラマとしてセンセーショナルな関係を描いてきた本作だが、人物描写の細部にキャリアや生き方の面での難しさを取り入れてきたことで、最終回にして一気にヒューマンドラマとしての側面も見せた。完治と真璃子はそれぞれが前向きに新たな道へ進み、互いに対する憎悪や依存は感じさせない。そんな清々しい人生の築き方は、一つの選択肢として受け入れられてもいいのではないかとすら感じた。不倫や駆け落ちを描いてきただけに、モラルに反する行為に嫌悪感を示す人もいたかもしれない。しかし、双方にとって一番輝ける未来を描いた『黄昏流星群』は一つの提案としてユニークだった。完治は仕事を辞め、家を出てから今までにないほどの笑顔を見せ、自由に暮らしている。真璃子も、趣味であったパン作りを仕事にするまでになった。さらにお互い好意を抱いていた人と結ばれ、まさに順風満帆である。出来過ぎたシナリオではあるが、理想的なあらすじは観る者の気持ちをリラックスさせる。惹きつける魅力は十分にあった作品だろう。

 このドラマで結びつくカップルはそれぞれに対照的な点がある。完治は何人もの人に支えられ常に慕われている。対照的に栞はいつも1人になってしまう。春輝は母を悲しませないという一貫したポリシーのもと問題と向き合うが、真璃子には指標にするものがなく問題と向き合わない。しかし、いつだって多くを“持っている”方が優秀というわけではない。なので完治は余るほどの人望を整理し、栞と生きることでバランスをとった。栞は完治と生きることで、もう1人ではなくなった。春輝は納得いくまで自身と向き合い恋に落ちた相手と結ばれ、真璃子もまた春輝を遠ざけずにきちんと受け止めた。生きていくことに足りすぎることはないと思っていた。しかし”過剰”というのはバランスを取らないと生きづらくなってしまうのだとこのドラマは教えてくれる。

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