小規模公開ながら大健闘 『search/サーチ』のような作品を日本映画界は目指すべき!?

『search/サーチ』が小規模公開ながら大健闘 


 先週末の映画動員ランキングは、『映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア
オールスターズメモリーズ』が、土日2日間で動員31万人、興収3億5400万円をあげて初登場1位に。テレビシリーズのスタートから約15年、最初の劇場版作品から約13年となる本作は、劇場版として歴代最高の出足となった。2009年以降は3月と10月、年に2作が公開されている『プリキュア』シリーズ。ハイペースでシリーズ作品を作っても価値がすり減らない『プリキュア』は、男の子の『仮面ライダー』シリーズと並んで配給の東映を支える、貴重なドル箱シリーズへとすっかり成長した。

 今週注目したいのは、わずか60スクリーンという公開規模ながら、公開から3日間の動員が3万4574人、興収4647万円と好成績を記録し、土日2日間の動員ランキングでもトップ10にランクインした『search/サーチ』だ。全編PCの画面(さすがに画面の一部分がズームになるなどの視点の誘導はあるが)で構成されていることが話題になっている本作。実はその手法を用いた映画は過去に例がなかったわけではなく、ハリウッド映画に限定しても、2015年にはFacebookでフォローを外すことを意味するタイトルが冠せられた『アンフレンデッド』(日本公開は2016年7月)というホラー映画が公開されて、アメリカではスマッシュヒットを記録した。当時この作品を観て「やられた」と思ったのは、テクノロジーそのものを映画のテーマとして利用する手法は、もともとJホラーの十八番であったからだ。ビデオテープとそのダビングに介在する呪いを描いた『リング』シリーズ、呪いの媒介を携帯電話の着信履歴へと発展させた『着信アリ』シリーズ。いずれもハリウッドで複数のリメイク作品(『着信アリ』の原作と企画を手がけた秋元康のもとにはハリウッドから巨額のリメイク権料が支払われたという話を、ご本人から聞いたことがある)が製作されたことからもわかるように、日本の作家や映画人に先見の明があったことがわかる。

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