初登場6位『響 -HIBIKI-』 注目すべきなのは、主演の平手友梨奈だけじゃない

『響』注目すべきは平手友梨奈だけじゃない

 先週末の映画動員ランキングは、『プーと大人になった僕』が土日2日間で動員24万5000人、興収3億3200万円をあげて初登場1位に。初日から9月17日(祝)までの4日間累計では、動員44万1000人、興収5億7900万円をあげる好スタートとなった。前週1位に初登場した『MEG ザ・モンスター』は2位に後退するも、9月17日時点で興収8億9800万円。今週のウィークデイにも10億円に届く見込みだ。

 今週取り上げるのは、先週末6位に初登場した欅坂46・平手友梨奈の映画初主演作品『響 -HIBIKI-』。本コラムが情報提供を受けている興行通信社からは具体的な数字が発表されていないが、文化通信社調べによると9月17日までの4日間で動員16万8708人、興収2億1517万円というまずまずの出足。本作で注目すべきは、これが監督の月川翔にとって『となりの怪物くん』、『センセイ君主』に続いて(まだ9月にして)今年3作目の公開作品、しかもそのすべてが日本最大手の東宝の配給作品であるということだ。ちなみに今年ここまで東宝が配給した作品は24本(東宝事業部配給作品を除く)、そのうち実写作品は18本。その3本を同じ監督の作品が占めているのだから、一人プログラムピクチャー監督状態と言ってしまいたくなるほどだ(月川翔監督以外では、東宝で今年2本撮っている監督も存在しない)。

 現在36歳の月川翔監督のプロフィールとキャリアは、二つの側面から分析することが可能だ。一つは、ティーン向けコミック原作作品を量産することでキャリアを築いてきた、商業映画監督としての側面(月川翔監督にとって今のところ最大のヒット作品である『君の膵臓をたべたい』の原作はコミックではないが)。このジャンルでは、過去に大人向けの秀作を撮ってきたベテラン監督が「お仕事」として監督を引き受け、凡作を連発するといったあまり好ましくない傾向もあったが、そんな中でも作品を追うごとに監督として確実に腕を上げてきた三木孝浩監督のような前例もいる。月川翔監督は、その三木孝浩監督と同様に大手芸能プロダクションのスターダストに所属している。以前から日本の映画監督には映像プロダクションやCM制作プロダクションに所属する監督も多かったが、現在は芸能プロダクションに所属するというのが成功への近道なのかもしれない。ちなみに、スターダストには自社の映画製作・配給会社スターダストピクチャーズ(SDP)というグループ会社があるが、三木孝浩や月川翔の監督作品には必ずSDPが製作に名を連ねているというわけではない。

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