広瀬すず、初のコギャル役をどう演じた? 『SUNNY』“空白の時間”を埋めた最後の表情

広瀬すず、初のコギャル役をどう演じた?

 『モテキ』などでおなじみの大根仁が、原作となった『サニー 永遠の仲間たち』の舞台を日本に移し、90年代の音楽やファッションを散りばめて映画化した『SUNNY 強い気持ち・強い愛』。

 女子高生の仲良しグループ「サニー」。ある出来事をきっかけに疎遠になっていた6人は、末期ガンに侵されたメンバーの「もう一度だけ、みんなに会いたい」という願いを叶えるために再び集まることになる。「サニー」のメンバーを集めるべく奮闘する主人公・奈美(篠原涼子)の女子高生時代を演じるのが広瀬すずである。

 『海街diary』『ちはやふる』『怒り』『三度目の殺人』など、どの映画においても強い印象を残す広瀬だが、今作で演じるのは彼女が一度も経験したことのない役柄と言えよう。90年代を代表する存在「コギャル」だ。広瀬が演じるのは、淡路島から東京に転校してきた少女・奈美。垢抜けない少女だった奈美は、芹香(山本舞香)をはじめ「サニー」のメンバーと出会い、刺激に溢れた毎日を送ることになる。

 転校したばかりでクラスに馴染めていない奈美は、学校では口数も少なくおどおどしている。しかし家に帰ると「みんなが履いてるから」という理由で、ルーズソックスを買うお金を母親にねだる普通の少女だ。その普通さが、当時「コギャル」に憧れていた女子高生たちを体現している。「サニー」のメンバーに対する奈美のキラキラとした目、あの尊敬のまなざしは、当時「コギャル」に憧れていた少女そのものだ。

 奈美は芹香に誘われ「サニー」のメンバーとなる。奈美は彼女たちからメイクやファッションを教えてもらうようになり、徐々に垢抜けていく。だが、広瀬の演技にはしっかりとした軸があった。どんなに見た目が垢抜けていっても、奈美の純朴さはそのままなのだ。「コギャル」として賑やかな毎日を送る中でも、彼女のまっすぐな瞳は少しも変わらない。「サニー」のメンバーの中で最もクールな奈々(池田エライザ)の心を解きほぐすことができたのも、奈美が彼女と「仲良くなりたい」という想いを一心に伝え続けたからだろう。見た目は「コギャル」でも、奈美のもっている芯は少しも揺らがない。純朴で、友達思いな奈美の想いを、広瀬はまっすぐな瞳に込めた。

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