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瀬戸康史、妊婦と向き合う真剣な眼差し 『透明なゆりかご』は命の重さを教えてくれる

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 ドラマ10『透明なゆりかご』(NHK総合)で海辺の街にある小さな産婦人科医院の院長、由比朋寛を俳優の瀬戸康史が演じているのだが、その意外性も含めて好演が光っている。瀬戸康史といえば、月9ドラマ『海月姫』(フジテレビ系)で女装男子・鯉淵蔵之介を見事に演じ切り話題になっていた。そして、今回のドラマでは彼の持ち味である甘さや可愛らしさといった魅力を封印。妊婦と生まれてくる命を守るべく、最善を尽くそうと真摯に取り組む院長を演じている。

 ドラマの原作は累計325万部突破の人気漫画『透明なゆりかご 産婦人科医院看護婦見習い日記』(沖田×華)で、作者が実際に産婦人科でアルバイトをしたときの経験をもとに描かれた作品。ドラマは、清原果耶演じる主人公のアオイが高校の准看護科に通いながらアルバイトとして由比産婦人科医院を訪れるところから物語が始まる。いきなり中絶手術に立ち会うという衝撃的な場面が象徴するように、本作は幸せな出産だけでなく、望まない妊娠や死産など産婦人科医院のリアルな現実が描かれている。不器用だが感受性豊かな看護師見習いのアオイの純粋な目を通して「命とは何か」を見つめていく。

 「命には、望まれて生まれてくるものと人知れず消えていくものがある。輝く命と透明な命……わたしには、その重さはどちらも同じに思える」とアオイの想いが表現されるのだが、デリケートで重い題材を扱うからからこそ、観る側も自然に命と向き合うことになる。アオイが自問自答しながら成長していく様子を見ながら、他人事ではなく命について考えずにはいられない。妊娠、出産をこれから経験する人、経験した人だけの問題ではなく、命の根本に関わる物語であり、性別も年齢も関係なくすべての人が目をそらしてはいけない物語がそこにはある。

 第3話の「不機嫌な妊婦」では、行き場のない怒りと悲しみを抱えた妊婦の安部さん(田畑智子)の心の痛みまで配慮したうえで、「お産に絶対はありません」と院長の由比が言い切る場面が印象に残った。まっすぐな視線、対峙したときの姿勢にも誠実さや受け止める覚悟といったものが感じられたのだ。不信感でいっぱいの患者、安部さんのように安易な慰めの言葉など求めない妊婦に対する誠意を、嘘偽りなく示すことができる医師だと伝わる瞬間だった。院長を演じる瀬戸の真剣な眼差しが強く焼き付いている。

 人の人生がそれぞれ違うように、いろいろな出産があって、絶対に安全な出産を保証できるわけではない。「産婦人科医とはこうあるべき!」といった主張をするわけでも完璧な正解を提示するわけでもないが、目の前にある尊い命と真剣に向き合っていく姿には救われる。

      

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