井之脇海、池田エライザ、寛一郎、旬の若手俳優が集結! 『青と僕』のスリリングな緊張感

旬の若手俳優が集結した『青と僕』の魅力

 ある人にとっては永遠に輝き続け、ある人にとっては思い出したくもないような10代の頃の「青き」日々。しかし、それは果たして、本当にそうなのだろうか。輝き続ける青春の遠景には、当時の自分が気づこうとしなかった誰かの痛みが、思い出したくもない記憶の片隅には、誰かの優しさがあったのではないか。そう思ったときに、私たちの「記憶」は、足元からグラグラと揺らぎ始めるのだった。

 月曜の深夜、フジテレビ「ブレイクマンデー24」枠で放送中のドラマ『青と僕』(全6話)が、静かな注目を集めている。昨年、同枠で放送され好評を博したドラマ『ぼくは麻理のなか』の制作チームが贈る“時空を超えた青春ミステリー”という触れ込みの一作だ。

 その物語は、現在はITベンダーの会社に勤務している「ぼく」のもとに届いた、一通のメールから本格的に動き始める。「自分のことを忘れるなんて許さない」。その送り主は、5年前に謎の死を遂げた「あいつ」だった。なぜ、今? これは誰かの嫌がらせなのか。そして、「ぼく」は、高校時代の同級生「紫織」と、久しぶりの再会を果たすのだった。

 主人公である「ぼく」を演じているのは、今作が連続ドラマ初主演となる井之脇海。子役からキャリアをスタートさせ、黒沢清の映画『トウキョウソナタ』の出演をきっかけに役者を志すようになったという井之脇は、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』でのコーラス教師役、大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK)の小野万福役など、近年頭角を現しつつある、注目の若手俳優のひとりだ。

 平凡な高校生だった「ぼく」に、「お前、青いな!」と快活に声を掛け、いつしか行動をともにするようになる「あいつ」。太陽のような明るさを持ちながら、卒業後、謎の死を遂げる「あいつ」を演じるのは、昨年『心が叫びたがってるんだ。』、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』という2本の映画で俳優デビューを果たした寛一郎。現在公開中の映画『菊とギロチン』で、アナキスト・グループ「ギロチン社」のメンバーのひとりである「古田大次郎」役を好演したことも記憶に新しい、祖父に三國連太郎、父に佐藤浩市を持つことでも知られる気鋭の若手俳優だ。

 そして、そんな「ぼく」と「あいつ」と行動をともにしながら、「あいつ」が思いを寄せる同級生「紫織」役を演じるのは、押見修造の漫画を原作とする先述のドラマ『ぼくは麻理のなか』で堂々の主演を果たし、最新主演映画『ルームロンダリング』をはじめ、ここ数年はドラマに映画に引っ張りだこの女優、池田エライザである。このメインキャスト3人のアンサンブルが、まずはとても素晴らしい。

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