『この世界の片隅に』『グッド・ドクター』『ハゲタカ』 夏ドラマは傑作が勢揃い?

夏ドラマは傑作が勢揃い

 今回こちらで取り上げるのは、2つの深夜ドラマだが、滝藤賢一と広瀬アリス、水野美紀が出演の『探偵が早すぎる』(読売テレビ・日本テレビ系)も面白そうだ。脚本は『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系)の宇田学、演出は『こえ恋』(テレビ東京系)の湯浅弘章。滝藤、広瀬、水野と、コメディに強い、優れた演技功者が揃っている。

『dele』(テレビ朝日系)

 山田孝之と菅田将暉、さらには麻生久美子が深夜ドラマで共演というだけで、期待せずにはいられない。原案・脚本は『ストレイヤーズ・クロニクル』(集英社)の本多孝好であり、1話完結型、脚本はそれぞれ金城一紀はじめ多くの脚本家が担当する。ゲスト出演も豪華だ。石橋静河、江口のりこ、余貴美子といった魅力的な女優たちに加え、高橋源一郎、野田洋次郎、コムアイ、Mummy-D、渡辺大知といった多彩な出演陣も魅力である。

『GIVER』(テレビ東京系)

 対するこちらは吉沢亮、森川葵と、魅力的な若手揃い。初回放送は40分があっと言う間に感じるほど衝撃的な展開に目を奪われた。監督は昨年の過激な話題作、間宮祥太郎主演『全員死刑』(2017)の小林勇貴。さらには『ケンとカズ』(2016)の小路紘史、『虎影』(2015)の西村喜廣という、日本映画ファンは必見と言える布陣であろう。

 冷徹で美しい吉沢亮と、初回ゲストのクレイジーな吉村界人との攻防も息を呑むものがあったが、怯える人質たちの奇妙な視線の流れ、女の子のパンチラの鮮やかなエロと毒、異例の連続予告における巨大な魚とプールの少女の艶かしさは、惹かれずにいられない。

 こちら5本のドラマをピックアップしたが、他にも、魅力的なドラマは多い。特筆すべきは2本のホームドラマだ。1本目は、伝記として面白い上に、赤塚不二夫の父親としての不器用さにホロリとさせられる『バカボンのパパよりバカなパパ』(NHK)である。そしてもう1本は、『おんな城主 直虎』(NHK)の森下佳子脚本、綾瀬はるか演じる義母の奮闘を描く『義母と娘のブルース』(TBS系)。1つの会社として家庭を描く斬新な手法はこれからの新しい家庭像を描き出すのかもしれない。井浦新や田中圭の出演が楽しみな吉岡里帆主演『健康で文化的な最低限度の生活』(カンテレ・フジテレビ系)も期待の1本である。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

■藤原奈緒
1992年生まれ。大分県在住の書店員。「映画芸術」などに寄稿。

■放送情報
日曜劇場『この世界の片隅に』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
原作:こうの史代『この世界の片隅に』(双葉社刊、『漫画アクション』連載)
脚本:岡田惠和
音楽:久石譲
演出:土井裕泰ほか
プロデュース:佐野亜裕美
出演:松本穂香、松坂桃李、村上虹郎、伊藤沙莉、土村芳、ドロンズ石本、久保田紗友、新井美羽、稲垣来泉、二階堂ふみ、榮倉奈々、古舘祐太郎、尾野真千子、木野花、塩見三省、田口トモロヲ、仙道敦子、伊藤蘭、宮本信子
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/konoseka_tbs/

『グッド・ドクター』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00放送
出演:山崎賢人、上野樹里、藤木直人、戸次重幸、中村ゆり、浜野謙太、板尾創路、柄本明 他
原作:『グッド・ドクター』(c)KBS(脚本:パク・ジェボム)
脚本:徳永友一、大北はるか
プロデュース: 藤野良太、金城綾香
協力プロデュース:西坂瑞城
演出: 金井紘、相沢秀幸
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/gooddoctor/

『ハゲタカ』
テレビ朝日系にて、7月19日(木)21:00より放送スタート
原作:真山 仁『ハゲタカ』『ハゲタカII』(講談社文庫)
出演:綾野剛、渡部篤郎、沢尻エリカ、池内博之、木南晴夏、堀内敬子、佐倉絵麻、杉本哲太、光石研、小林薫
脚本:古家和尚
監督:和泉聖治
音楽:富貴晴美
主題歌:Mr.Children「SINGLES」(Toy’s Factory)
ゼネラルプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)、下山潤(ジャンゴフィルム)
(c)テレビ朝日
公式サイト:http://www.tv-asahi.co.jp/hagetaka/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる