2週連続でトップ5にランクインなし 日本映画界の絶対王者、東宝の憂鬱

 先週末の映画動員ランキングは、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』が土日2日間で動員19万7000人、興収2億9300万円をあげて、2週連続で1位を獲得。公開5週目に入った『万引き家族』は土日2日間で動員12万6000人、興収1億6800万円をあげて2位と、好調が続いている。先週末の時点で『万引き家族』は累計で動員285万人、興収34億円を突破。日本映画、外国映画を問わずギャガの単独配給作品としては画期的な動員300万人突破は確実、興収も40億の大台を十分に狙えるところまできた。そもそもアニメ作品以外の日本映画が40億を超えること自体、非常に稀なことであるが、東宝・松竹・東映の大手三社以外の配給作品となると、2014年にワーナーが配給した『るろうに剣心 伝説の最期編』(興収43.5億円)以来、4年ぶりの快挙となる。

 ところで、前週から日本の映画興行において珍事とも言える出来事が起こっていることにお気づきだろうか? 実は、6月23日〜24日の週末の動員ランキングでその時点で公開11週目の『名探偵コナン ゼロの執行人』が5位に入ったのを最後に、先々週、そして先週と2週連続で東宝作品がトップ5に1作品も入っていないのだ。6月16〜17日の週末も東宝作品の最高位は『名探偵コナン ゼロの執行人』の7位なので、この1か月、ほとんど上位に東宝作品が顔を出していないことになる。日本の映画興行で長年トップのシェアを誇ってきた東宝に、一体何が起こっているのか?

 作品を公開日順に整理していくと、東宝配給作品で最後に初登場でトップ5に入ったのは、5月25日公開の『恋は雨上がりのように』(初登場4位)ということになる。その後、つまり6月に入ってから公開された東宝配給作品は、『OVER DRIVE』も『羊と鋼の森』も公開初週でさえトップ5に入ることがなかった。たまたま不発が2作品続いただけとも言えるし、特に『羊と鋼の森』に関しては同週に公開された『万引き家族』に話題を完全に奪われてしまうという不幸なタイミングもあった。4月13日公開の『名探偵コナン ゼロの執行人』は先週末で興収85億円を突破して、年間興収1位となる可能性がますます高まってきている。しかし、実写作品に限れば、今年の東宝から興収20億円以上の(東宝配給作品としては)中ヒットと呼べるような作品でさえまだ1作品も出ていないのは気になるところだ。

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