大泉洋、冴えないダメ男なのになぜモテる? 『恋雨』『焼肉ドラゴン』で見せた“愛され力”

大泉洋、冴えないダメ男なのになぜモテる?

 大泉洋が、現在公開中の『恋は雨上がりのように』『焼肉ドラゴン』ほか、ドラマ、映画と立て続けに話題作に出演している。俳優・大泉洋が今、こんなにも引っ張りだこで、老若男女みんなに愛されるのはなぜか。冴えないダメ男なのになぜかモテる役柄で心をつかむ不思議な大泉洋の魅力に迫りたい。

 映画『恋は雨上がりのように』で大泉洋が演じるファミレスの店長は、バツイチで冴えない45歳。陸上部のエースだったが、アキレス腱のケガによって夢を絶たれた17歳の女子高生・橘あきら(小松菜奈)が雨宿りで立ち寄り放心しているところに優しく声をかけたのが店長だった。雨の日のその出来事をきっかけに、あきらはファミレスでバイトを始める。

 自他ともに認めるパッとしない普通のおじさんである店長に、密かに強い恋心を抱くあきら。眩しいくらい真っ直ぐな17歳の女の子にデートに誘われるわ、告白されるわで戸惑う店長のリアクションがいちいち心をくすぐる。

『恋は雨上がりのように』(C)2018映画「恋は雨上がりのように」製作委員会 (C)2014 眉月じゅん/小学館

 「俺なんかとデートでもしてごらんよ」と店長が逃げ腰になっているのに、「デートしてくれるんですか!?」とあきらが迫り、いざデートとなると周囲の目ばかり気にしてしまう店長。しかし、困惑しつつも、つねに誰に対しても相手を尊重する姿勢を貫く店長だからこそ、あきらは彼に惹かれたのだ。

 ただ優しいだけの大人はそのへんにいるが、相手を不快にさせることなく、相手に居心地のいい空間を用意してくれる大人は希有な存在だ。普通のおじさんだけど、キラリとした素敵な魅力を持っている。そんなあきらに真っ直ぐに惚れられる素敵な店長を嫌味なく演じられるのが大泉洋の真骨頂。

 小説家を目指していた彼は、自分が休日に過ごすお気に入りの場所、図書館に彼女を連れて行ったときに普段本をあまり読まないというあきらに対して自分の趣味の本を押し付けるようなことはしなかった。もちろん、うんちくを傾けることもせず、彼女と本との出会いの場を静かに見守っているだけ。17歳と45歳の2人が並んで嫌らしい感じが出るどころか、清々しくさえある。

『恋は雨上がりのように』(C)2018映画「恋は雨上がりのように」製作委員会 (C)2014 眉月じゅん/小学館

 そして、ケガをしたあきらを病院に連れて行くために乗せた店長の車の後部座席には息子のためのオモチャのスペースがあり、あきらに一緒に夏祭りに行きたいと誘われても、息子と約束していると断る父性の見せ方も絶妙なのだ。実際、バラエティ番組で愛娘とのエピソードを披露することもあるが、この父性の見せ方も嫌味なくて素敵なのだ。

 おじさんと女子高生のラブストーリーだと勘違いされやすいテーマではあるが、人生の雨宿り中に出会った2人が再スタートを切る青春物語。幅広い年代から支持される大泉洋だからこそ演じられる“普通の男”の切なさが心を揺さぶる。

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