「俺ちゃん」の健闘と今後への不安 『デッドプール2』の興行を振り返る

『デッドプール2』の興行を振り返る

 先週末の映画動員ランキングは、『万引き家族』が土日2日間で動員20万2000人、興収2億6400万円をあげ3週連続1位。興収の前週比は約77%と引き続き高い推移をしていて、累計動員200万人、累計興収25億円を突破している。今週末にも30億円突破の可能性がでてきた。2018年6月の映画興行は最終的に『万引き家族』の一人勝ちだったと言っていいだろう。

 一方、6月初頭の興行を引っぱっていた『デッドプール2』も、ここまでずっとトップ5以内で粘っていて、先週末の動員ランキングでは4位。既に累計動員100万人、累計興収15億円を突破し、とりあえず「俺ちゃん」の面目は保たれたかたちだ。ただし、興収20億を超えた2年前の前作『デッドプール』を超えられるかどうかはかなり微妙な情勢。以前のコラムでも指摘した通り、それでも『デッドプール』シリーズの日本での人気定着は十分に快挙と言うべきなのだが、「続編は前編を超えられない」という興行界のジンクスはやはり今回も破られそうにない。

 アメリカをはじめ、各国で派手なスタートダッシュをきった『デッドプール2』だったが、世界各国での公開から1か月以上を経た現時点で、アメリカの国内興収も、世界興収も、やはり前作から10%〜20%減というところで落ち着きそうな状況となっている。初登場1位、そしてその後の推移まで、アメコミ原作作品にしては珍しく日本と海外における温度差がなかった『デッドプール』だが、その今後に関しては不安要素がないわけではない。

 2010年代に入ってから、「続編は前編を超えられない」というジンクスを派手に破ってみせたのは、『アイアンマン2』(2010年)から『アイアンマン3』(2013年)への流れだった。同シリーズは、日本の興収でも世界興収でも「2」から「3」の過程で約2倍に。ご存知の通り、そこには両作の間に公開された『アベンジャーズ』(2012年)の特大ヒットによるアイアンマン人気の爆発という要因があったわけだが、実は『デッドプール』シリーズにも同じような「出世コース」が用意されているのだ。

 まだ公開時期は発表されていないが、『デッドプール』シリーズの次作となる『デッドプール3』の前には、『デッドプール2』で登場したケーブル(ジョシュ・ブローリン)やドミノ(ザジー・ビーツ)とともにデッドプールがチームの一員として活躍する、いわばデッドプール版『アベンジャーズ』といった位置付けの『X-Force』(監督・脚本はドリュー・ゴダード)の製作が予定されている。

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