永瀬正敏や國村隼らが明かす 『パンク侍、斬られて候』が抱える”現代性”

永瀬正敏らが語る『パンク侍』の現代性

 綾野剛主演映画『パンク侍、斬られて候』のキャストやスタッフたちが、本作が持つ意外な現代性の秘話を明かした。

 町田康原作の同名小説を宮藤官九郎が脚本化し、『蜜のあわれ』の石井岳龍監督のメガホンにより映画化した本作は、10人の男たちによる腹の探り合いと、1人の女をめぐる恋の行方、そして1匹の猿が語り出す驚きの秘密を描いた物語。主演の綾野をはじめ、北川景子、東出昌大、染谷将太、近藤公園、渋川清彦、若葉竜也、村上淳、浅野忠信、國村隼、豊川悦司、永瀬正敏らが出演する。

 江戸時代を舞台にしながらも、今っぽい口語による滑稽な会話の応酬、主人公の掛を含め次から次へと登場する特異なキャラクターたち、驚くべきストーリー展開と、『パンク侍、斬られて候』は、これまでのどんな映画とも一線を画す作品となっている。

 しかし、一見どこまでも破天荒にみえる本作について、謎の猿将軍を演じた永瀬正敏は「この作品は一言では語れないのですが、時代劇でもあるのに、今の社会問題を提起する映画にもなっているんです」と、実は非常に現代性のある作品であると語る。さらに、黒和藩の次席家老・大浦主膳を演じた國村隼は「今の日本はどこか息苦しい閉塞感や空虚感が漂っているように思っている人も多いのではないでしょうか。そんな時代に、あたかもその停滞を打ち破るように、卵の殻がバーンと割れ、中から物凄いエナジーがほとばしってくるこの作品はピッタリだと思います」と語り、江戸時代を舞台にしながらも今の時代にピッタリな作品であることを明かした。

 永瀬や國村の言う、本作に漂う“現代性”と“リアリティ”は役者の演技にも表れている。黒和藩の首席家老・内藤帯刀を演じた豊川悦司は、「“こういう上司がいるかもしれない”というリアリティが内藤というキャラクターにはあります。会社の中でも社長ではないのだけれど、中間管理職よりももう少し上。例えば“嫌な常務”のような雰囲気を出せればいいなと思って演じていました」と語り、自らのキャラクターをより身近で魅力的にするために、会社組織の人間関係からヒントを得たとコメント。

 本作の監督を務めた石井岳龍は、「この映画は、もともとの原作の魅力により娯楽性を加え、主人公の掛十之進を中心としたとてつもない個性を持ったキャラクターたちが縦横無人に活躍しながら、映画独自の虚構の彼方に今の日本社会をミラーボールの如く乱反射させとても欲張りな作品なのです」と、破天荒なキャラクターや予測不能のストーリー展開の中に見え隠れする“現代性”も、この映画の大きな魅力の一つであると打ち明けた。

■公開情報
『パンク侍、斬られて候』
6月30日(土)全国ロードショー
監督:石井岳龍
脚本:宮藤官九郎
出演:綾野剛、北川景子、東出昌大、染谷将太、浅野忠信、永瀬正敏、村上淳、若葉竜也、近藤公園、渋川清彦、國村隼、豊川悦司
原作:町田康『パンク侍、斬られて候』(角川文庫刊)
配給:東映
(c)エイベックス通信放送
公式サイト:http://www.punksamurai.jp/

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