金子修介監督×かとうみゆき、ロマンポルノへの思いを語る 『ラスト・キャバレー』初DVD化

金子修介×かとうみゆき、ロマンポルノを語る

 1971年に製作を開始した日活ロマンポルノ。2016年に生誕45周年を迎え、昨年は行定勲、園子温らが監督を務めたロマンポルノが公開されるなど、再注目を集めている。日本映画史に名を残す映画監督・脚本家・スタッフたちを排出したロマンポルノは、現在も国内外で高く評価され、特集上映も後を絶たない。本年度も「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の一環として、今回が初HD・DVD化となる『ラスト・キャバレー』を含む、14タイトルがDVDリリースされた。

 6月2日にDVDが発売された『ラスト・キャバレー』には、メガホンを取った金子修介監督と、主演のかとうみゆきによるオーディオコメンタリーが収録されている。

 『ラスト・キャバレー』は、閉店する昔ながらの“ピンクキャバレー”にロマンポルノの終焉をなぞらえた“さよなら”ムービー。

 コメンタリー収録の際に行われたツーショットインタビューでは、1988年の公開から30年の時を経て、金子監督自らキャスティングしたというかとうの魅力や、ロマンポルノへの思いなど、今だからこそ話せる裏話がたっぷりと語られた。

 本作が初デジタル化されることについて、金子監督は「映画撮影がフィルムからデジタルになって以降、機会がないとHD化されないので、実質的に消滅に近い作品も多くなってきています。そんななか、『ラスト・キャバレー』がHD化されたことは大変うれしく思います」と喜びを明かす。

 ロマンポルノ最後の作品(正式には最後から3作目)と言われる作品で主演を務めたかとうは、「周りからは今更ロマンポルノに出るなと言われたりしていました。でも、金子監督のお名前を観て、あるカメラマンさんから絶対に出た方がいいとも言われて。それで脚本を読んで、会ってお話してきます!となったんです」と出演の経緯を振り返る。

 30年以上、映画監督を務めている金子監督のキャリアの中でも、自分で主演を探して決めたのは本作のかとうが唯一だという。「かとうさんが主演に決定したのは撮影の5日前でした(笑)。みゆきちゃんは面接にひとりで来て、やるとなったらギャラの話をしてきますと、ひとりでプロデューサーと話していたのを覚えています。ロマンポルノが続いていればロマンポルノのスターになっていたと思いますね」

 当時、脱ぐことへの反対は周囲からあったというかとうだが、出演への後悔は一切ないと語る。「もし、今後、こうした脱いだり絡んだりということのあるお仕事をされる方がいるなら、絶対に後悔しないでほしいし、堂々と前を向いて生きてほしいですね。自分がやると決め手、外野は黙れ!という気持ちで臨んだことが、30年経ったいま、本当に良かったなと実感しています。私はロマンポルノ出演後はドラマに出たり、作り手に回ったりしてきましたが、洋服を着ているとか脱いでるとか、関係ないと思っています。作品はあくまで作品ですから」。

 本作が改めてリリースされたことについて、金子監督は「先輩たちがいろんなものと戦ったいろんな歴史を含めて、ロマンポルノの歴史があります。だからこうして『ラスト・キャバレー』もDVDにまでしていただいてうれしく思っています」と語る。かとうは、「ある映画のプロデューサーさんが、ロマンポルノは日本映画の財産だと仰っていました。そういう作品にたった1本ですが主演できた。そして30年経って監督と再会できる場がある。本当に映画はすごいなと思っています」とその喜びを語った。

金子修介監督
かとうみゆき

(取材・文=石井達也)

■リリース情報
『ラスト・キャバレー』
DVD発売中
価格:3,000円+税
出演:かとうみゆき、大地康雄、渡辺航、高樹陽子、橋本杏子、風祭ゆき、橘雷子、江崎和代、岡本麗
監督:金子修介
脚本:じんのひろあき
発売元:日活株式会社
販売元:ハピネット
(c)1988 日活株式会社
公式サイト:http://www.nikkatsu.com/package/33114.html

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