初登場3位『ラプラスの魔女』 オールスター映画としての不思議な構造

『ラプラスの魔女』の不思議な構造

 ゴールデンウィークの最後の週末と重なった先週末の映画動員ランキング。4週連続1位を記録したのは『名探偵コナン ゼロの執行人』。5月5日、6日の動員は41万8000人、興収は5億5200万円。前週は興収では初登場の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の後塵を拝したが、先週末は興収でも大きく上回る完全勝利となった。強い。

 その『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2位をキープ。土日2日間の動員は26万6000人、興収は4億800万円。2週目以降の落ち幅は近年のアメコミ・スーパーヒーロー映画に比べると緩やかで、ゴールデンウィーク中という追い風もあってか、好調が続いている。もっとも、相変わらず国外ではケタ外れの数字を叩き出して空前の大ヒットを記録中。世界興収10億ドル(約1090億円)を『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の12日間の最短記録を更新する11日間で達成。主要国から遅れて5月3日に公開されたロシアでも同国のオープニング記録を更新、5月11日にはいよいよ中国での公開も始まり、新興マーケットの成績が加わることでどこまで世界興収がさらに伸びるかに注目が集まっている。

 『コナン』と『アベンジャーズ』の高い壁に阻まれて、『ラプラスの魔女』は初登場3位。土日2日間で動員20万8000人、興収2億7800万円。公開初日の金曜日(祝日)も含めた3日間の累計では動員37万3000人、興収4億9500万円と好成績を記録している。しかし、この作品、興収分析をする上ではあまりにも様々な要素が絡み合っていて、なかなか一筋縄ではいかない作品なのだ。

 おそらく興収/動員の最も大きな牽引力になったのは、4年ぶりの主演映画となった櫻井翔のタレント・パワーだが、『ラプラスの魔女』と同じように祝日の金曜日に公開された4年前の主演作『神様のカルテ2』は、オープニング3日間で興収2億1483万9950円と、その当時の予想を大きく下回る成績に終わっていた。それをふまえた上で、とりあえずその前年の2013年に公開された『謎解きはディナーのあとで』(オープニング2日間の動員が32万2162人、興収3億9883万2200円)の水準に戻った、と見ることは可能かもしれない。

 『ラプラスの魔女』の興行価値には、東野圭吾原作の映画化作品という側面もある。そこで記憶に新しいのは、同じ東宝配給で上映スクリーン数も320〜340スクリーン程度とほぼ同水準の、今年1月に公開された『祈りの幕が下りる時』だ。同作は公開週の週末2日間の成績も動員20万6000人、興収2億6500万円と、『ラプラスの魔女』の成績と拮抗している。ただし、金曜日公開作品と土曜公開作品の数字を並べてみることにはあまり意味はない。少なくとも初動においては、『ラプラスの魔女』は『祈りの幕が下りる時』をかなり離して上回っていると見るべきだろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「興行成績一刀両断」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる