中谷美紀がユースケ・サンタマリアに大爆発! 『あな家』が描いた現代女性の叫び

『あな家』が描いた現代女性の叫び

「女に一体いくつの役割押し付けるんだ! できるもんなら、そっちがやってみろ!」

 金曜ドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)、第2話にしてまさに大波乱。妻は本音をぶちまけ、夫は秘密を重ねていく。なかでも今回のハイライトは、佐藤真弓(中谷美紀)が、モラハラ&セクハラ男・茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)に啖呵を切ったシーンではないだろうか。

 一人娘の中学進学を機にキャリア復帰し、旅行代理店での仕事にも慣れてきた真弓。だが夫の秀明は、太郎の妻・綾子(木村多江)と関係を持った翌日から、掲示板サイト『発言小町』で見た浮気チェックリスト通りの怪しい行動を取り、真弓の不信感は募る一方だ。罪滅ぼしのように真弓をデートに誘った秀明だが、それも綾子の呼び出しによりすっぽかされる。何かがおかしいとモヤモヤしているときに、偶然にも太郎の担当に。2組の夫婦が接近した。

 勤務時間外にも関わらず太郎に呼び出された真弓が向かった先は前回、秀明が泥酔した太郎行きつけのスナックだ。太郎は、不躾に男性から見た性的に惹かれる女性の順位を示した「一盗二婢三妾四妓五妻」という言葉を説き出す。1番は他の男性の女性を奪うこと。2番は使用人を抱くこと、3番は愛人を囲うこと、4番は商売の女性を買うこと、そして妻は最下位だ、と豪語。そして、女の“現役復帰“が叶わなかった真弓の神経を逆なでするように「そんな可愛げないの顔ばかりしてると、旦那に抱いてももらえないよ」と言い放ったのだ。

 これには真弓も「ふざけんな!」と大爆発。「家事と仕事に駆けずり回って、24時間休みなしでお母さんやって、それでも疲れた顔をするな? 手を抜くな? 料理をやれ? それでいて旦那に浮気されないように、若い女に負けないようにキレイでいろ? 笑顔を絶やさず女でいろ? そんなことできるか、できるわけないだろ!」と反論し、掴みかかったもんだから、太郎も大慌て。綾子がいつだって「幸せなのはあなたのおかげです」と自分を立ててくれていた太郎にとって、真弓のこのキレっぷりは予想外のものだったはず。

 真相はまだわからない。だが、太郎の様子を見ていると、どうやら綾子と秀明の不倫を知っているように思える。「幸せだけど寂しい」「奥さんなんて呼ばないで」と潤んだ瞳と艶っぽい仕草で訴える綾子は、もしかしたらもともとそうした性分があり、不義密通の相手も秀明が初めてではないのかもしれない。太郎は、そんな綾子をあえて泳がせ、他の男と通じさせることで妻でありながら「一盗」を感じられるようにしているのではないか。そして使用人のような扱いをして、親の居る家で身体を重ねることで「二婢」を味わう。さらに、次々と若い女性にセクハラを繰り返すのは束の間の「三妾」、贔屓のスナックは「四妓」気分に浸る場……。太郎にとって、女性は自分に対して何らかの利益をもたらしてくれる役割を持った存在なのだろう。勝手に相手の役割を見出して、その枠にハマっていないと「ダメなやつだ」と威圧していく。それが、ハラスメントを生んでいる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる