日本で暗黒時代が続いたドリームワークス 初登場1位『ボス・ベイビー』で大復活?

ドリームワークス『ボス・ベイビー』で復活?

 2016年4月にコムキャスト傘下のNBCユニバーサルによって買収されて、ユニバーサル・グループの一員となったドリームワークス・アニメーションだが、実は日本以外の国では今回の『ボス・ベイビー』は20世紀フォックスが配給している。したがって、これまで通り日本では劇場未公開になることが懸念されたが、それを救済したのが、日本でユニバーサル作品を配給している東宝東和。世界的にドリームワークス・アニメーション作品をユニバーサルが配給するのは来年の2019年からとなるが、それに先んじて特例処置を講じた。今回、日本公開が1年遅れた裏にはそのような事情があったのだ。

 2004年にドリームワークス・アニメーションが分社化されて以降も、同社を指揮してきたドリームワークスの創始者の一人、ジェフリー・カッツェンバーグ。2016年にNBCユニバーサルに売却した際にCEOを退いたカッツェンバーグだが、ドリームワークス・アニメーション作品の特徴に関して、かつてこんな言葉を残している。「ディズニーは子供と大人の中にある子供心に向けて映画を作るが、ドリームワークスは大人と子供の中にある大人心に向けて映画を作る」。「子供(赤ちゃん)の中にある大人心」を主題にした今回の『ボス・ベイビー』は、まさにドリームワークスの精神をそのまま体現した作品と言えるだろう。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「文春オンライン」「Yahoo!」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。Twitter

■公開情報
『ボス・ベイビー』
全国公開中
監督:トム・マクグラス
キャスト:アレック・ボールドウィン、マイルズ・バクシ、ジミー・キンメル、リサ・クドロー、スティーブ・ブシェミほか
吹替キャスト:ムロツヨシ、芳根京子、乙葉、石田明(NON STYLE)、宮野真守、山寺宏一ほか
配給:東宝東和
(c)2017 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.
公式サイト:http://bossbaby.jp/

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