広瀬すずが語る、“青春モノ”ではない作品の届け方 坂元裕二脚本ドラマ『anone』インタビュー

広瀬すず『anone』インタビュー

「喋らなくても2人の空間を気まずいと感じたことはない」

ーーハリカと亜乃音が親子に見えるくらい、2人の微笑ましい雰囲気が印象的です。実際の現場では、田中さんとはどのようなやりとりをされているんですか?

広瀬:撮影が始まってからそこまで時間が経っているわけではないので、決して会話が多いわけではありませんが、喋らなくても2人の空間を気まずいと感じたことはないです。田中さんのなかでの亜乃音さんの存在感が、私にとってのハリカと似ているんだろうなと思っていて。変に力が入ることもなく、構えることもなく、自然にその距離感が取れているのかなと感じています。

ーー心苦しい過去を持つ主人公・ハリカを演じるにあたって、どのようなことを意識していますか?

広瀬:ハリカは自分のことを「悲しい過去がある人間です」とも思っていないし、自分の本来の悲しい記憶を思い出したからといって、まだ全てを受け入れているわけでもない。だから、私は「これからハリカがそれを思い出す瞬間はどんな時なんだろう……」と想像することが多いです。今は目の前に亜乃音さんがいて、他のことに委ねている時間があるけれど、過去を思い出した瞬間にハリカの内からどんな感情が出てくるのか、いつ「お父さん、お母さん」という言葉を発するのか……。ハリカがそういったことをどう感じるのかは、今後気になってくるポイントだと思います。

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ーーこれまでも様々な作品で自身と同じ年齢の役を演じていますが、ハリカという役において、これまでと違う部分だったり、役作りで特に気をつけたりしていることはありますか。

広瀬:監督に言われたのは、ハリカは、話し方にどこか幼児性があるという部分でした。時間が止まっている過去があるから、ハリカ自身もその頃のままで止まっている面がある。語尾に「ね」と付けることや好みの靴下の柄など、どこか幼さを意識している部分はあります。それと、“興味”ではなくて、“好奇心”を意識するようにしています。何に対しても、なんとなく面白いから見にいったり気になったりする感覚を持っている。それがいろいろな事件に巻き込まれていくきっかけとなる感情なのかなと思います。また、私たちが思っている“当たり前”がすぐ側になかったから、ハリカはパジャマや枕のような些細なことに対しても、素直に嬉しさを感じる。それがハリカの素だと思うので、そういう感覚は大切にしています。

「10代のうちに主演をやらせてもらえる作品を残せるのはありがたい」

広瀬すず
ーー20歳の誕生日を迎える6月までは、『ラプラスの魔女』や『ちはやふる-結び-』など出演映画の公開も控えていますが、『anone』は10代最後のドラマ出演作になりますね。

広瀬:10代のうちに10代の役で、しかも主演をやらせてもらえる作品を残せることができる環境があるのはありがたいです。今まではわりと高校生役が多かったので、20歳を越えるとより幅の広い年齢の役を演じることができるようになるのかなと思うと、面白そうだな思う反面、嫌だなという気持ちもあります。10代から20代になるときって、全てが一気に広がる気がして……。まだ20歳以上の役をほとんどやったことがないから分かりませんが、大人になって振り返ってみたときに、感慨深く今を思い出したりするのかなと思うと、不思議な気持ちになります。私がこの歳でこの作品に触れるのと、何年後かにこの作品を観るのとでは、おそらくまた違った気持ちになる気がします。だからこそ、この作品は観る方一人ひとり感じ方が違うと思うので、私たちの中で生まれた“生のもの”を受け取ってもらえたら嬉しいです。

(取材・文=大和田茉椰/写真=伊藤惇)

■放送情報
『anone』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00~放送
出演:広瀬すず、田中裕子、瑛太、小林聡美、阿部サダヲ、火野正平ほか
脚本:坂元裕二
演出:水田伸生
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:次屋尚
制作協力:ザ・ワークス
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/anone/

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2018年2月28日(水)

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