松本利夫が語る、“やらされてる感”の面白さ ワンマンSHOW『MATSUぼっち05』に向けて

レコードはB面がある

――今回の舞台には、『レコード』というサブタイトルがありますが、それはどういうところから来たのでしょうか。

MATSU:愛犬が亡くなったことがきっかけで、この子の人生はどうだったのかなって振り返っていたときに、ある先輩の話を思い出したんですよ。映画でご一緒させてもらった先輩の役者さんが「人生はレコードみたいなもんなんだよ」と言われていて。最初はどういうことなんだろうと思っていたんですけど、レコードって聞くときに針をおきますよね。1曲目、レコードの円の外側を針が回っている間は、1周まわるのは遅いけれど、だんだん内側にいくほど早くなっていく。若いときは、いろんなことが初めてで、1年が経つのもゆっくり感じられるけど、年をとるとだんだん1年が早くなって、やがて曲も終わっていくように、人生を終えるんだって。それを聞いて、「悲しいこと言わないでくださいよ」っていう会話をしたんですけど、後になって考えたら、そうかもしれないなって。

――そんな意味があったんですね。

MATSU:でも、そこからもう一つ自分で考えたんですよ。「レコードはB面があるな」って。僕も40歳でEXILEのパフォーマーを卒業したんですけど、40歳って、もう若くないし、現役を終えたようなイメージもあるし、でもだからこそ、ここらでちょっとB面に変えようと思ったんです。もう1回、エンジンをかけ直すような感じで。そういう意味あいとともに、レコードというテーマになったことで、いろんな曲とともに、誰かの人生を疑似体験するような舞台になると面白いなと思ったんです。一人芝居って、毎回、どういう枠組みにするかを考えるのがすごく重要で。やっぱり、息抜きする部分もあれば、集中してみる部分も必要だし、ただただ楽しむ場所も欲しいしということで、いろいろ考えます。

――B面の人生を歩むということは、グループの中でも先輩の立ち位置になるわけですが、立ち位置の変化に対してはどう考えられていますか?

MATSU:年齢的には先輩ですけど、社会人としてはまだまだ下っ端だと思うし、役者としてもまだ力量不足なので、常に学んでいかないとと思っています。どんな人でも、学びがないと止まっちゃう気がするし。僕の場合はパフォーマーを卒業するというきっかけがあって、しかも40歳っていうと、落ち着きたいと思う気持ちもあるだろうと思うんですけど、そこから第2の人生をエンジンかけなおしてフルスロットルで走っていかないとって。また一からやるくらいの覚悟を持って活動しないと、後輩たちも見てくれないし、ファンも見てくれないと思うんです。それができてこそ先輩なのかなって。B面になったからって安心しないで、1日1日を大事にしないと、すぐに人生が過ぎ去っちゃう。折り返し地点に来たってことを正面から受け止めて、いろんなことを吸収して表現し続けていこうと思っています。

(取材・文=西森路代)

■公演情報
松本利夫ワンマンSHOW
「MATSUぼっち05」‐レコード‐
原案・主演:松本利夫
演出:徳尾浩司
出演:松本利夫
製作:フジテレビジョン / ネルケプランニング/ LDH JAPAN
詳細は公式サイトにて:http://m.ex-m.jp/Cts/event/2017/matsu05/index

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