脚本家・野木亜紀子が描く“会話”の面白さ 『アンナチュラル』が視聴者にもたらす“満足感”を探る

『アンナチュラル』の“満足感”を探る

 ほかにも、バイクの後ろに乗せたミコトについて「おっぱい大きかったです。背中調べで」と、真面目なのかジョークなのかわからないテンションで語る久部。さらに冷凍車に閉じ込められ危機迫るミコトとともに「スマホの現在地は?」「すみません、ガラケーなんです」「信じがたい」「事実です」と、シリアスとコミカルを同時に演出する中堂系(井浦新)など、謎多きキャラクターたちがふと繰り出す会話もまた、どうしたって面白い。

 それぞれに魅力的なキャラクターが発するのは、いつだって“彼女たちらしい”言葉。だからこそ遠回りすることなく、視聴者の胸にストンと響く。そして何より、UDIラボメンバーたちによる会話には『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系/野木亜紀子脚本)にも通ずるテンポのよさがある。この疾走感によって物語全体のスピードが上がり、視聴後に「もう1時間経ったのか」「この内容が1時間に収まっているのか」という2つの感情をもたらすことに繋がるのだろう。

 今夜放送される第3話では、法廷を舞台に有罪率99.9%の検事とミコトがぶつかり合う。ミコトたちは一体、どんな会話劇で私たちを楽しませてくれるのだろうか。

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■放送情報
金曜ドラマ『アンナチュラル』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、池田鉄洋、竜星涼、小笠原海(超特急)、飯尾和樹(ずん)、北村有起哉、大倉孝二、薬師丸ひろ子(特別出演)、松重豊ほか
脚本:野木亜紀子
プロデューサー:新井順子(ドリマックス・テレビジョン)、植田博樹
演出:塚原あゆ子(ドリマックス・テレビジョン)
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/unnatural2018/

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