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結婚や妊娠に関する課題がてんこ盛り 深田恭子×松山ケンイチ『隣の家族は青く見える』の問題提起

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 女性の社会進出が当たり前のように浸透し始めた今、結婚する・しない、子供を産む・産まないなどといった、女性のライフイベントに関わる選択肢がぐっと増えたように思える。しかし、選択肢が増えたということが全てポジティブに働くわけでもない。

 『隣の家族は青く見える』は、そんな今を生きるあらゆる男女の結婚・妊娠・出産観について、4組のカップルを描くことで問題提起していく、課題がてんこ盛りなドラマなのだ。

 深田恭子演じる主人公・五十嵐奈々と、松山ケンイチ演じる五十嵐大器は「子供が欲しい」夫婦である。彼らは子作りに励んでいるのだが、1年3ヶ月が過ぎても一向に妊娠しない。不安になった主人公・奈々は大器を連れ、婦人科へ足を運び、そこで不妊症と告げられる。第1話では、夫・大器の精液検査(男性の妊娠力をはかる検査。精子の濃度、運動量を確認する)が行われ、彼の精液には問題が見られなかった。担当医からタイミング法(女性の排卵日に合わせて性交渉を行い、妊娠を促す方法)が提案され、2人の妊活が始まる。

 劇中、奈々の年齢は35歳だと明かされる。一般的に妊娠適齢期は20~35歳と言われている(参照:一般社団法人日本生殖医学会 不妊症Q&A)。恐らく彼女は妊娠のために知識を得ているのだろう。「私ももう35(歳)だし…」と話す彼女の顔は浮かない。

 一方で、夫・大器は良くも悪くもおおらかな人物で、悩む奈々に「病院に行かなくても、いつかはできるよ」と楽観的である。精液検査に異常が見られないと分かったとき、彼は無邪気に喜んだ。確かに異常がないのは喜ばしいことだが、ドラマ鑑賞後Twitterを見てみると、無邪気に喜ぶ大器の姿に苛立ちを覚える視聴者もいたようだ。

 帰宅し、妊活のためにお酒を飲むのを控えた奈々。そんな奈々に「俺も飲まないほうがいい?」と聞きつつ、飲んでもいいよと言われると「よかったー」と嬉しそうに飲み始める大器。この時、ほんの一瞬顔をしかめ、言葉をつぐんでしまった奈々に不安を覚える。今後この夫婦には、互いの意識の差によって生じる壁が待ち構えているに違いない。

 松山ケンイチは、表情をコロコロと変えながらコミカルに大器を演じる。子供と接する時や奈々と過ごしている時の楽しそうな表情は、思わずつられて笑ってしまうほど印象的だ。ただ観ている側としては、このコミカルな演技が見事だからこそ、大器と奈々の妊活に対する意識の差が広がりやしないかとヒヤヒヤしてしまう。

 とはいえ、大器演じる松山ケンイチが奈々に対して見せる「愛おしい」という表情は素晴らしい。不妊に悩む奈々に対し、時々無神経な一言や行動を取り視聴者を苛立たせているとはいえ、彼女を愛おしく思う姿に間違いはない。

 深田恭子は可愛らしい表情を見せながらも、夫を支えるしっかり者の奥さんといった雰囲気も垣間見せる。夫婦の馴れ初めとなったダイビングスクールでのシーン。足がつって溺れてしまった大器を救出し冷静に対処した奈々には、テレビの前の誰もが見惚れたに違いない。

 そんな彼女の、不妊の不安を抱えながらも前向きに捉えようとする健気な演技が素晴らしい。大器との妊活に対する意識の差は、おそらく回を追うごとに広がっていくのだろう。それでも現段階では、不妊症という深刻な問題に向き合おうとする、互いを尊重した夫婦に見える。可能であれば、このまま穏やかな夫婦のままでいてほしい。

      
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