年末企画:加藤よしきの「2017年 年間ベスト映画TOP10」 色々と語りたい映画が多い1年

加藤よしきの「2017年ベスト映画TOP10」

 ……さて、いよいよベスト3ですが、今年は全てアジアのアクション映画になりました。

 まずは『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』。とにかく出てくる人が全員カッコいいし、名勝負に次ぐ名勝負で、見ている間はずっと笑顔。「要!」も「Break into the Dark」もティンティンティンティンも頭から離れません。あと岩ちゃんさんが前蹴りを放つラストシーンに感銘を受け、会社を辞めたという点も大きいですね。ある意味で人生を変えた映画です。

 2位は香港映画『ドラゴン×マッハ!』。久しぶりに「こんな強いヤツどうやって倒すんだよ!」と思える強キャラを見れて大いに満足です。マックス・チャンがトニー・ジャーの必殺ムーブを全部防ぐシーンなど、思わず息を飲みました。このラストバトルを超える格闘シーンは、あと数年は出てこないと思います。

 そして1位は現代中国の『空手バカ一代』こと『イップ・マン 継承』。私が一番スゲェなと思ったのは、「不動産屋のマイク・タイソンと戦う」という滅茶苦茶な話と、非常にウェットな夫婦愛の話を同時に描く離れ業に成功している点です。ドニー・イェンが哀しく木人を叩くシーンは本年度のベストシーン。個人的にはシリーズで一番気に入っています。

 そんなわけで今年も色々ありましたが、面白い映画にたくさん出会えてよかったです。来年も楽しんでいきます。

TOP10で取り上げた作品のレビュー

『ドラゴン×マッハ!』を大傑作と呼ぶべき理由 人間ドラマとしての側面から読み解く
『HiGH&LOW THE MOVIE 2』評論家座談会【前編】 「日本発クリエイティブの底力を見た!」
『HiGH&LOW THE MOVIE 2』評論家座談会【後編】「国境を超えたら、状況が一気に変わる可能性もある」
『哭声/コクソン』の“ジャンル横断”はなぜ成立した? 無能な主人公の行動原理から探る
なぜ悪いことをしてはいけないか? 地獄絵図の韓国ノワール『アシュラ』が示すシンプルな答え
『ザ・コンサルタント』は何故ここまで変な映画に? 大きな「?」が浮かぶ3つのポイント

■加藤よしき
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。

■リリース情報
『イップ・マン 継承』
Blu-ray&DVD発売中
出演:ドニー・イェン、マックス・チャン、マイク・タイソン、リン・ホン
監督:ウィルソン・イップ
アクション監督:ユエン・ウーピン
製作:レイモンド・ウォン
音楽:川井憲次
発売・販売元:ギャガ
(c)2015 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved.

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