『おんな城主 直虎』いよいよ最終回! 壮大なコント「本能寺が変」を振り返る

『おんな城主 直虎』真骨頂の49話

 光秀による信長への謀反の企てという今後の徳川の運命を左右するような出来事、さらには自分自身の暗殺の危機が差し迫る状況で、予測不能な事態が次々に起こり、当事者たちの不可解な行動を追って分析し「やるのやらないの、どっちなの?」とあたふたする徳川というだけでも面白いのに、そんな徳川を傍から見ている何も知らない穴山が、徳川の動向を不信がる。

 徳川を助けるために信長・光秀の動向と徳川の動向を追っている直虎は、「やっぱり京に向かう!」という家康の予測不能な行動に慌て、龍雲丸(柳楽優弥)を使って徳川の前で一芝居打つ。やけにわざとらしい龍雲丸の小芝居に便乗した、さらにわざとらしい徳川一行の小芝居を見つめ穴山は余計に混乱する。それぞれの思惑に動く彼らの予測不能な行動を表情のみでツッコミ続けた、万千代を演じる菅田将暉も秀逸だった。

 このドタバタコメディの中に、後の名参謀となるノブこと本多正信(六角精児)の「さすがは裏切り者」という仕事ぶりの見事さや、そのやり方の汚さを黙認し利用する家康のただのいい人ではないタヌキっぷり、さらには直虎と龍雲丸の再会と、あらゆる過去の伏線の回収と未来への布石もふんだんに詰め込まれていることも見逃せない。

 最終回、謀反人・明智光秀の遺児となってしまう、井伊谷で匿われている自然(田中レイ)はどうなるのか。直虎の「戦さをなくす戦さ」、人を逃がし、守るための最後の戦いが始まろうとしている。

■藤原奈緒
1992年生まれ。大分県在住の書店員。「映画芸術」などに寄稿。

■放送情報
『おんな城主 直虎』
[NHK総合]毎週日曜20:00〜20:45
[NHK BSプレミアム]毎週日曜18:00〜18:45
作:森下佳子
出演:柴咲コウ、菅田将暉、小林薫、市原隼人、貫地谷しほり、井之脇海、阿部サダヲ、菜々緒、尾美としのり、髙嶋政宏、和田正人、六角精児、尾上松也、市川海老蔵、柳楽優弥
制作統括:岡本幸江
プロデューサー:松川博敬
演出:渡辺一貴、福井充広、藤並英樹
写真提供=NHK
公式サイト:http://www.nhk.or.jp/naotora/

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