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瀬々敬久監督が語る、『ヘヴンズ ストーリー』から7年の変化 「“自由”が大切な時代になっている」

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 2010年に公開された瀬々敬久監督作『ヘヴンズ ストーリー』のBlu-ray&DVD
が発売中だ。ベルリン映画祭で「国際批評家連盟賞」と「NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)」を受賞したほか、国内外の映画祭などで高い評価を受けつつも、これまでソフト化されなかった本作が、7年の月日を経て、ついにパッケージ化された。実際に起きた事件をモデルに、家族を殺された幼い娘、妻子を殺された若い夫などを中心に、20人以上の登場人物が複数の殺人事件をきっかけにつながっていく。

 リアルサウンド映画部では、Blu-ray&DVDの発売を記念して、瀬々敬久監督にインタビューを行った。聞き手にモルモット吉田氏を迎え、今回のソフト化の経緯から、映画製作時と現代の状況の変化や、自身の映画製作のスタンスまで話を聞いた。(編集部)

「映画に描かれている加害者・被害者の問題は万国共通」

――『ヘヴンズ ストーリー』が公開から7年を経てBlu-ray、DVDが発売されることになりました。

瀬々敬久監督(以下、瀬々)この映画を一緒に作ったプロデューサーから、「配信の世の中になるとパッケージというものは無くなるかも知れないから、これが最後のチャンスかも知れない」と言われたんです。たしかに近年は配信がものすごく増えているので、DVDやBlu-rayで持っているというのも選択肢の一つと思うので、この機会にやろうという話になったんですね。

――公開から半年後にソフト化しなかったのは何故ですか?

瀬々:映画館にお客さんは来てもらえましたけど、製作費を回収するには程遠い。それが悔しかったというのもありますが、4時間38分という長い映画ですから、映画館で上映し続けようやというムードが製作の側も配給さんにも漂ってきたんです。それで当面は映画館限定でしか見られない映画ですというリリースを出したら、それを読んだ人から「瀬々さん、DVDは出さないんですってね」と言われて、「当面」が抜けて伝わって(笑)。もう一生出さないつもりなのかと思われて。そうなると、こっちも無闇に出せないわけですよ。

――とはいえ、現在まで東京・新宿のK’s cinemaでは毎年再上映されて、新たな観客が増えていったのは、ソフト化されていなかったからですね。上映では、リピーターの方も多いんですか?

瀬々:新しいお客さんとの出会いもありましたが、リピーターの方も多かったですね。5、6回見ている人はザラにいました。百回以上見た人もいます。何回も見に来てくれる人の中には、刑務所の刑務官をやっているという青年もいました。

――各国の映画祭でも上映されましたが、印象に残ったことはありますか。

瀬々:カザフスタンの映画祭で上映した後に、客席のおじいさんが立って、「この映画の中の復讐は生温い気がするが、日本ではこれでいいのか?」って言うんです。向こうは“目には目を”の精神があるわけですね。その時、若い観客はブーイングするわけです。若い人々の中にはそういう発想はナンセンスという考えがあるんですね。今の時代はもうちょっと違うスタンスでやらないと新しい時代は来ないと感じている。だから旧世代のイスラム原理主義みたいな意見に否定的な反応をするわけですね。そういう意味で、この映画に描かれている加害者・被害者の問題というのは万国共通の部分があって、割りと受け入れられやすかったんだろうなと感じましたね。

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