「僕の日本文化への愛を詰め込んだ」 『パシフィック・リム』続編監督、製作中の作品について語る

『パシリム』続編、監督インタビュー

 『パシフィック・リム』の続編『パシフィック・リム:アップライジング』が2018年4月に日本公開される。前作でメガホンを取り、制作スケジュールの関係で今回は製作総指揮に回ったギレルモ・デル・トロからバトンを受け継いだのは、Netflixオリジナルドラマ『Marvel デアデビル』のショーランナーを務めたスティーヴン・S・デナイトだ。リアルサウンド映画部では、東京コミコン2017参加のために来日したデナイト監督にインタビューを行い、現在鋭意制作中の本作について話を訊いた。

「この作品には僕の日本文化への愛が詰め込まれている」

ーー前作の監督ギレルモ・デル・トロから人気シリーズを引き継ぐことが決まった時の率直な感想は?

スティーヴン・S・デナイト(以下、デナイト):本当に突然のことで、「え? 本当に?」というのが僕の最初のリアクションだった。というのは、それまで”一つ屋根の下、3人のキャラクターが……”といった、低予算のスリラー映画の製作を進めていたんだ。随分規模が違うんじゃない?と思ったけれども、最高のことだったね。

ーーデル・トロ監督から、何かアドバイスはあったんでしょうか?

デナイト:初めてギレルモに会った時、今まで会った人の中でも段違いにいい人だっと思った。それほど温かい人柄を感じたんだ。製作当初から、「『パシフィック・リム』を自分のものにしていい」「自分が思う方向に進めていい」と言ってくれて、僕がいくつかアイデアを出した時は、どれもすごくワクワクしながら聞いてくれた。その後、ギレルモは『シェイプ・オブ・ウォーター』の製作に入ってしまったから直接話す機会は少なくなってしまったけれど、質問があればいつでも連絡してほしいと応援してくれたよ。

ーー実際、撮影中にコンタクトを取ったことは?

デナイト:もちろん、何度も連絡したよ。ギレルモは真の芸術家であり、ユーモアもあるから、彼と話す時はいつも楽しかった。彼と出会ったことは、僕のキャリアのハイライトのひとつ。ギレルモと、(『アベンジャーズ』の)ジョス・ウェドン、テレビドラマ『スパルタカス』で一緒に仕事をしたサム・ライミの3人は、僕にとって格別なんだ。

ーーこれまで『デアデビル』などのテレビシリーズで活躍してきたあなたにとって、長編映画の監督は今回が初めてですね。自身がこの人気シリーズの続編の監督に抜擢された最大の理由は何だと思いますか?

デナイト:この作品はすでに公開時期が決まっていたから、すぐにでも製作に取り掛からなければならなかった。テレビドラマのショーランナーには、クリエイティブな部分と、スケジュール管理などのビジネス的な部分の両方が必要だから、そういう意味で適任だと評価されたのかもしれないね。限られた時間の中で、監督として何百人のスタッフやキャストとやりとりしながら作品を作り上げるという、アートとビジネスの両面を僕に見出してくれたのだと思う。

ーーテレビシリーズと映画とで、大きな違いを感じることもあったのでは?

デナイト:時間とお金だね(笑)。テレビシリーズの制作費は映画と大差がなくなってきているけれど、時間は大きく違っていた。例えば、僕が監督した『デアデビル』シーズン1のフィナーレの撮影期間は14日間だった。それだけでもボロボロに疲れ切ったのに、今回は91日間。ギレルモにも言われたように、“映画作りはマラソン”だと学んだよ。ペース配分をしなければならないけれども、たくさんの人が応援してくれる。まさにその通りだったね。

ーーあなたは幼少期から日本映画や特撮ものから大きな影響を受けていたそうですね。

デナイト:日本の特撮は子どもの頃、テレビで見て知ったんだ。当時アメリカでは、テレビのチャンネルが3つしかなかったんだけど、一生懸命アンテナを合わせると見られる謎の局があって、そこで日本の作品を見ることができた。その時初めて『ウルトラマン』と出会い惚れ込んで、『マグマ大使』や『ジャイアントロボ』は何度も何度も繰り返し見るほど大好きになったんだ。ちょうど同じチャンネルで昔の日本映画が放送されていて、『ゴジラ』や『ガメラ』、『空の大怪獣ラドン』なんかもやっていた。巨大なモンスターに惹かれて、どんどん怪獣ものにハマっていったんだ。子どもたちにとって、彼らは特別な存在。見ていてワクワクするのに加えて、大義のために戦っているのに心を奪われたんだ。アクションや冒険ももちろんだけど、子どもたちは怪獣やモンスターに夢を見るんだよね。

ーーそういった意味では、『パシフィック・リム:アップライジング』の監督への抜てきは、あなたにとって長年の夢が叶ったと言えますね。

デナイト:まさにそうだね。子どもの頃からの夢が叶う機会だった。毎日子どもの頃に戻ったような気持ちで現場に挑んでいたね。と同時に、この作品には今の自分の日本文化への愛も詰め込んだんだ。

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