『民衆の敵』草ヶ谷Pが挑む“月9”の変革 「社会に一石を投じるドラマを」

『民衆の敵』草ヶ谷Pが挑む“月9”の変革

「藤堂役は高橋一生さんしかない」

――智子と同じ新人議員であり、代々続く政治家一族の次男でもある藤堂誠を演じるのは、高橋一生さん。今、大ブレイクしている高橋さんですが、彼を起用した理由を教えてください。

草ヶ谷:藤堂は二世議員であり、これまで政治のレールにしかれて帝王学を学んで生きてきた人です。でも、自分はこのままでいいのだろうかと思い、隠しマンションを借りている。たぶん、その隠しマンションが唯一本当の自分になれる場所だと思うんですよね。あと、智子という自分の考え方にはまったくなかった人間と関わることで、彼の本当の姿が見えてくるのですが、そういった二面性のあるキャラクターをうまく演じられる俳優さんを考えたときに、高橋一生さんしかないなと。今、改めて高橋さんが評価されている部分は、もちろんルックスや声もあるのでしょうが、いろんな引き出しを持たれている俳優さんですし、圧倒的な表現力を持っている方なので、高橋さんにお願いしようと思いました。

――藤堂はある意味、闇を抱えているキャラクターだと思いますが、藤堂の二面性を出すために、現場で高橋さんと演出の方とのやりとりはあったのでしょうか?

草ヶ谷:現場でのやり取りで印象に残っているのは、“笑顔”を使い分けるということですね。というのも、政治家はある意味で、市民に笑顔を振りまいて、支持を集めるのが仕事。でも、藤堂は実際のところでは智子と、隠れマンションで一緒に時間を過ごしている莉子ちゃん(今田美桜)にしか心からの笑顔を見せていないんです。なので、現場ではその差を出すための工夫をされていましたし、ドラマでも2話以降、智子から「その笑顔、むかつく。バカにしているの?」と言われたり、莉子からも「その笑顔、嫌い」と言われたりしていたと思います。それこそ2話で高橋さんがわかりやすく笑顔を変えてくださったので、藤堂の笑顔から彼の二面性を顕著に感じていただけるのではないかと思います。

――智子の政治参謀ともいえる平田和美を演じられているのは、篠原さんと同じぐらい女性からの支持が高い石田ゆり子さん。『逃げるは恥だが役に立つ』(2016・TBS系)でもキャリアウーマンを演じていましたが、今回はシングルマザーの政治記者ということで、また少し印象が違いますね。

草ヶ谷:石田さん演じる和美は、女性として先を進んでいるカッコいい人でありたいと思っている人です。彼女はシングルマザーで、そうなったのにも大きな意味があるんですよね。それは物語の後半に明らかになるんですけど、すごく強い女性だと思います。そんな和美が智子と出会ったのをきっかけに、もう一度、自分が本当にやりたかった仕事に突っ走っていく姿は応援したくなりますし、視聴者からも支持を得られるのではないかと思いました。そして、それを演じられるのは、同姓からの支持が高い石田さんだと思いました。それに和美は智子との出会いをきっかけに、自分の幸せとは何かに改めて気づき、自分がやりたいと思う仕事の道で頑張ろうとする女性なので、今の時代的にはすごく共感を得られる役柄なのではないかと思います。

「このドラマをやる意味があると思っています」

――フジテレビの“月9”枠といえば、一時代を築いたブランドでもあったと思います。先ほどラブストーリーの多かった“月9”で政治ものをやるのはチャレンジングな企画だったと言いましたが、プロデューサーである草ヶ谷さんとして、そしてフジテレビという会社として変わっていかなければという思いがあるのでしょうか?

草ヶ谷:何か新しい風を吹かせたいと思いましたし、視聴者の方に「フジテレビ、変わってきたよね」と思っていただける企画をやりたいと思いました。今、政治というのは本当にタイムリーで、我々に近い存在になってきたからこそ、このドラマをやる意味があると思っています。このドラマを観て“民衆の敵”とはいったい何のことなのか、今の社会や生活を考えるきっかけにしていただけるとうれしいです。

――すでに4話まで放送されていますが、今後の展開はどうなっていくのでしょうか。

草ヶ谷:このドラマは大きく分けて三部構成になっています。智子が市議会議員になるまでの第1話が第一部、智子が市議会議員なってからの第2話~第5話が第二部、それ以降が第三部となっています。ネタバレになってしまうので、詳しくはお話しできませんが、第5話で物語は急展開を迎えます。その第5話からは新レギュラーも増えますし、右も左もわからない新人議員だった智子がどう成長し、どうキャリアップを図っていくのか、ぜひご注目ください。

(取材・文=馬場英美)

■放送情報
『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』
10月23日(月)スタート フジテレビ系にて毎週月曜21時~放送
出演:篠原涼子、高橋一生、古田新太、前田敦子、千葉雄大、斎藤司(トレンディエンジェル)、若旦那、細田善彦、今田美桜 、余貴美子、大澄賢也、田中圭、石田ゆり子
脚本:黒沢久子
音楽:井筒昭雄
主題歌:AAA「LIFE」(avex trax)
プロデュース:草ヶ谷大輔
演出:金井紘、石井祐介、相沢秀幸
制作著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/minshuunoteki/

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