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『全員死刑』インタビュー

間宮祥太朗が語る、殺人鬼役への葛藤と覚悟 「彼らは我々とまったく違う人間でもない」

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「世の中の“一般”から外れた人間を見つけてきて、集団で叩くような風潮に違和感を感じています。叩いている側の人間は、それをすることで自分たちを正当化しようとしているだけなんじゃないかって。その辺りの意識は、小林勇貴監督と共通するものがありました」

 間宮祥太朗にとっての初主演作『全員死刑』は、荒々しい衝動に突き動かされた強烈な作品となった。監督を務めるのは、本物の不良を起用したことで話題となった『孤高の遠吠』(2015年)などで知られる気鋭の若手・小林勇貴。間宮とは3つ違いで、お互いに同世代感覚があったことも、作品に勢いを与えたという。間宮は、初めて小林監督と食事をした際のことを、「話している内容だけじゃなく、監督が醸し出す雰囲気や視線でも『この人は一緒に作品を作ることができる方だ』と感じました」と振り返っている。

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切羽詰まったことでも、一歩離れて見るとすごく笑えたりする

 かつて福岡で発生し、被告である家族4人全員に死刑判決が下った強盗殺人死体遺棄事件ーーその死刑囚である次男の獄中手記をベースにした原作『我が一家全員死刑』(コアマガジン/小学館文庫刊)をモチーフにしたのが本作『全員死刑』である。間宮が演じるのは、殺人一家の次男・首塚タカノリ。長男・サトシ役には『ケンとカズ』(2016年)で激賞された毎熊克哉が名を連ねており、二人のささくれ立った会話劇は本作の大きな見どころとなっている。

「毎熊さんとは、10代の頃からお互いに知っていて、舞台で一緒になったこともある。昨年『ケンとカズ』を見たときは、久し振りにハートをわしづかみにされる作品だなと、大きな感銘を受けました。だから今回、毎熊さんと兄弟役を演じることができたのは本当に嬉しかったです。ゼロから関係性を作るわけではなかったので、二人ならではの空気感を自然な形で作り上げることができたのは良かったですね」

 長男・サトシは偉ぶってはいるが、いざという時は頼りなく、肝心なことは弟のタカノリに任せっきりだ。倫理の崩壊した家族の行動は、非常に残忍でありながら行き当たりばったりで、本人たちが凄むほど、時にそれは滑稽にも映る。

「殺人を犯したり、その後処理をしたりと、家族は非日常的な切羽詰まった状況にあるわけですけれど、彼らの間にはこれまで家族として生きてきた長い時間の蓄積があって、その会話のやり取りや関係性はそう簡単に崩れるものではないと思うんです。だから、あんな状況にあっても冗談を口にしたりする。それは不謹慎だけれど、自然なことなんじゃないかと、撮り進めるうちに思いました。それに、本人たちからすると必死で切羽詰まったことでも、一歩離れて見るとすごく笑えたりするものですよね。僕らは意図的に『ここで笑わせよう』と考えて演技をしていたわけではないけれど、結果として彼らの行動は笑えるところも多いと思います」

 ブラックなユーモアが散りばめられる中で、ひときわ目立つのは、藤原季節演じる吉田ショウジではないだろうか。吉田は首塚兄弟の後輩という役どころで、本作における最初の犠牲者でもある。

「季節はシーンに入る直前の集中力がすごいんですよ。集中力を高めに高めて、一気に入り込む。『ライチ 光クラブ』で共演した時もそうでしたが、彼が思い切りやってくれるから、僕も遠慮なくぶつかっていけるんですよね。劇中で、彼の頭を叩くシーンはアドリブだったんですけれど、季節は叩かれた瞬間にすごく怯えた表情になって、それだけで二人の上下関係を示していました。そういう演技のキャッチボールができたのは、季節が相手だったからこそですね」

日常とまったく無関係の世界の話でもない

 ほかにも、本作には六平直政演じる父・首塚テツジや、清水葉月演じるタカノリの彼女・カオリ、中村佑太郎演じるドロちゃんなど、一癖も二癖もある役者が勢ぞろいしている。しかしながら間宮は、決してタカノリを普通とは違う、特別な人間として演じようとは考えなかったという。


「タカノリは家族のために行動して、結果として殺人鬼になってしまうわけで、もちろん普通の神経の持ち主ではないんですけれど、かといって我々とまったく違う人間でもないんです。ひとつ歯車が狂ったことから、だんだんと道を外れていく人物なので、生活感のある人物になるように意識しました。なぜこんな凄惨な事件が起こったのかを描いている作品で、そこには歪なりにも理由があるし、僕らの日常とまったく無関係の世界の話でもない。そのリアリティを感じて欲しいです。小林監督の作品は、不良の世界の話を描いているけれど、そこで起こっていることって、実は大なり小なり、どんなコミュニティーでも起こっていることなんですよね。それは学校だったり、会社だったり、人それぞれ違うと思いますが。この作品を見て、程度の差こそあれ『これは自分たちにも起こりうる話なんだ』と感じてもらえたら、すごく嬉しいです」

 そんな間宮は今後も、こうした“不良モノ”の作品に挑戦していくのだろうか。

      

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