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新垣結衣、小松菜奈、そして広瀬すず……若手女優の瑞々しい表情捉える三木孝浩監督の辣腕

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 宮崎あおい、橋本愛、吉高由里子、上野樹里、能年玲奈、本田翼、新垣結衣、土屋太鳳、小松菜奈……これまで、三木孝浩監督作品のヒロインを務めてきた女優たちだ。

 『僕らがいた』『青空エール』などの少女漫画原作を得意とする三木監督は、若手女優のその時代、その年齢のときにしか見ることができない瑞々しい表情を捉えることに秀でている。そんな三木監督の最新作『先生!、、、好きになってもいいですか』では、若手No.1の呼び声も高い広瀬すずをヒロインに、生田斗真との淡いラブストーリーを展開していく。

 原作は、「別冊マーガレット」で連載されている同名コミック。広瀬が演じる内気で恋をしたことがない女子高生・島田響と、生田演じるぶっきらぼうだが本当は優しい一面をもつ世界史教師・伊藤との恋模様が描かれている。島田の友人・千草恵(森川葵)と河合浩介(竜星涼)もそれぞれ教師への憧れを抱いており、大人になれないもどかしさが生徒と教師というフィルターを通すことでうまく表現されている。

 「大人と子ども」という点では、新垣結衣主演の『くちびるに歌を』でも同じテーマが見受けられる。新垣が演じたのは、夢を諦めて田舎の音楽の先生となった天才ピアニスト・柏木ユリ。合唱部の顧問になるものの「私、ピアノは弾かないから」と子どもたちを突っぱねる。しかし「歌を歌いたい」という子ども達の純粋な想いに触れることで、次第に生徒やピアノ、そして蓋をしていた自分自身の過去と向き合っていく姿が描かれている。

 “距離感”に重点を置かれた『くちびるに歌を』では、遠い位置にカメラが置かれ、柏木と生徒たちのシーンが映し出される場面が多くあった。特に柏木がピアノを弾けないと判明した直後、合唱部部長・仲村ナズナ(恒松悠里)と話をするシーンは、音楽室の端と端に立つ2人を教室の後ろからカメラが捉えている。机4列を挟んだこの距離感が、リアルな緊張感と心の距離を視覚化している。

 一方、“近づけないもどかしさ”がに重点が置かれた『先生』では、島田や河合の主観的なカメラアングルが目立った。そして先生という立場が“遠い存在”ということを感じさせる光の当て方で、関係性がより明確化されている。特に、伊藤の居る社会準備室にたびたび差し込んでいる光には、どこか“触れてはいけない存在”ということを想像させる。また、比嘉愛未演じる中島幸子の「高校生の本気なんて本気のうちに入らないのよ」と河合の好意を否定する姿勢が、その壁をさらに際立たせる。

 そんな大人たちと対比するように、島田は内気な少女として描かれる。常にうつむきがちで化粧っ気もなく、特定の友達以外には心を開くことができない。伊藤と話す時も、話しかけるためにひと息もふた息も置き、それなのに声が裏返ってしまうほど緊張していた。でも伊藤のぶっきらぼうだが優しい一面に触れることで徐々に緊張が解け、いつしか感情を思いっきりぶつけられるようになっていた。そして最後、「手を繋いでもいいですか」と伊藤の目を見る島田は、もう少女ではなく1人の女性として映し出されていた。

      

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