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櫻井翔『先に生まれただけの僕』の不思議な味わいは、“後に生まれた人たち”に伝わるのか?

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 嵐・櫻井翔主演のドラマ『先に生まれただけの僕』(10月14日放送開始/日本テレビ系)。櫻井が演じるのは、グループ傘下の私立高校に校長として出向した商社マン役。「設定」だけを聞いた段階では、同じジャニーズ主演の学園モノであることから、長瀬智也主演の『マイボスマイヒーロー』(日本テレビ系)のように、熱さと笑いが随所に盛り込まれたキュートな青春物語を期待する人が少なくなかったことだろう。また、「社会派エンターテインメントドラマ」を謳っていることから、同じく「社会派」の学園モノであり、米倉涼子が高校生を演じた『35歳の高校生』(日本テレビ系)のようなスカッと爽快感あるドラマを期待した人もいたと思う。

 しかし、実際に観て、驚いた。まず、もったりと重たく暗い、映画のような映像に。演出は『Mother』(日本テレビ系)『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)『Dr.倫太郎』(日本テレビ系)の水田伸生と聞くと、合点がいくが、『ゆとりですが~』のような深夜ドラマであればともかく、夜10時から1時間見続けるには、やや画面が暗すぎるために、映画館のように電気を消して観たほうが目が疲れずに済みそうな印象はある。共演者の蒼井優や森川葵、木南晴夏、池田鉄洋、風間杜夫などの顔ぶれも、映画や舞台を観ているような、ピンと張り詰めた空気感を醸し出す。また、原案・脚本を担当しているのは、『HERO』(フジテレビ系)『ガリレオ』(フジテレビ系)『龍馬伝』(NHK)などの福田靖。

 第一話では「奨学金」問題、第二話では「スクールカースト&いじめ」問題が描かれているように、扱うテーマも重く、シビア。それもドラマチックな解決があるわけではなく、櫻井演じる校長の「主張」は、自然体で、等身大で、かつ空回り気味だ。「先に生まれただけの僕」として、淡々と、軽やかに、こんな言葉が語られるときに、思わずゾッとする。「奨学金が借金だって実感したのは、就職してからだった。最初の給料なんて、たいしたことないからさ。そこから三万円近く引かれるってのは、かなりきつかった。今でも払い続けている。利子含めると、600万円近くなるからね。全部払うのに、あと10年かかるよ。でも、そんなことになるなんて聞いたことがない。記憶がないんだよね」。かなりシビアで重い現実を、ひたすらセリフによってサラリと突きつけてくる。そこには強いメッセージ性をヒリヒリ感じるが、逆に言うと、「全部セリフによる説明で成り立っているドラマ」でもある。

 それでいて、塾の講師に専念することになった数学教師(木下ほうか)の穴埋めとして、校長自らが「自分が代わりに数学を教える」と言い出す、ザ・主人公的ベタな展開も。こうした映像の色味・香りと、テーマ性、物語の構成や展開、櫻井翔というキャラクターとの不思議なミックス感は、不思議な味わいだ。「学園モノのドラマ」と思ってみたら、「重たい感じの映画」に見えたり、「重たい感じの映画」と思って見たら、『NEWS ZERO』(日本テレビ系)に見えてきたり……。見た目とニオイ、食べてみたときの味や食感がそれぞれに違っているために、口に入れた途端に、想像と異なる味に混乱してしまう。

      

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