橋本環奈が語る、『斉木楠雄のΨ難』振り切れた演技の秘訣 「自分のなかで上限を決めないこと」

『斉木楠雄のΨ難』橋本環奈インタビュー

「ファンの方々の原作愛を裏切らないことが、私自身1番気をつけているところ」

ーー『銀魂』に続いて今回も多彩な表情を披露していますが、この辺りも福田監督と話し合いながら?

橋本:それもありますし、自分で考えながらやった部分もあります。演技って全身を使うものじゃないですか。だから表情で見せたいという気持ちが前提にありつつも、自分自身が心美の気持ちに乗っかって、自然とそうなっていくところもありました。福田監督には、「ここはもうちょっと口を開こう」とか「もう少しはっちゃけていいよ」とか細かい部分を指示していただいて。でも、はっちゃけ過ぎてNGというのはないので(笑)。

ーーそうなんですね(笑)。

橋本:監督が「カット!」と言う前にめちゃくちゃ笑ってくれたらOKなんです(笑)。それが「カット! うーん……」となったら、みんなもう1回やる準備を始めるという(笑)。

ーー撮影現場も笑いが絶えなさそうですね。

橋本:本当に楽しい現場なんですよ! 終始笑いを我慢しなければいけない感じ(笑)。楠雄役の山崎賢人さんとか私とかは、燃堂(新井浩文)や海藤(吉沢亮)がやっていることをジーッと見ていなければいけないわけなんです。どうしても吉沢さんの中二病姿には笑ってしまうし、新井さんの燃堂も相当面白かったですね。とにかく皆さん面白過ぎて、笑いを我慢するのが大変な現場でした。

ーーコメディ映画初主演となる山崎賢人さんとの共演はいかがでしたか?

橋本:山崎賢人さんとは今回初めての共演でしたが、初日から本当に笑いが好きな方だなと感じました。賢人さんは福田監督の作品にずっと出てみたかったそうなのですが、その気持ちがすごく伝わってきました。斉木楠雄はクールなキャラクターなので、あまり表情を変えてはいけないのですが、「もう我慢できない!」とずっと笑っていたのが印象的でした。映画では、心美の妄想のなかだけ楠雄がはっちゃけるところがあって、そのシーンをやっているときの賢人くんは本当に楽しそうにしていました。笑いについてもそうですが、演技に関してもいろいろと追求されているのを目の当たりにして、私にとってもすごく刺激になりました。

ーー『銀魂』で共演したキャストの方々もたくさんいますが、現場の雰囲気は『銀魂』と違うものがありましたか?

橋本:どうでしょう……。違ったような気もするし、一緒だったような気もします。でも、みんなが笑いを追求しながら楽しんで撮影するという、福田組の基本的なところは変わらないです。ただ、『銀魂』はアクションもあったので、より大変だった部分は大きかったかもしれません。特に新井さんは『銀魂』のとき、「あー早く終わってほしい」と言いながら苦しいと嘆いていたんですよ。新井さんが演じた岡田似蔵役はシリアスなキャラクターだったので、「なんで福田組なのに、うちはコメディできないのかな」って(笑)。だから『斉木楠雄のΨ難』の初日に、新井さんが「あー楽しい!」と何十回も言っていたのがとても印象に残っています(笑)。

ーー燃堂役の新井さんのインパクトは強烈でした。

橋本:もう燃堂そのものですもんね(笑)。原作の麻生先生も現場で新井さんを見て、すごくテンションが上がっていました。他のキャラクターも含めて登場人物はみんなキャラが濃いのですが、実写の違和感をあえていじってくるというか、いい意味でのコスプレ感を出せているのが福田監督のすごいところだなと感じます。

ーー確かにそうですよね。『銀魂』では柳楽優弥さんにインタビューをしたのですが、同じようなことを言っていました。

橋本:原作とまったく同じにするのは難しいですよね。マンガやアニメの世界を実際の人間で演じるからには、その時点で違うわけですし。でもファンの方々の原作愛を裏切りたくない気持ちももちろんあるんです。そこは私自身1番気をつけているところでもあって。

ーー具体的にどういうところを?

橋下:『銀魂』のときに、神楽の口癖である「~アル」を取ってもいいと原作の空知先生がおっしゃっていたのですが、でもそれは神楽にとって必要な要素だと思ったので、そのままやらせていただきました。でもやっぱり原作モノの実写化作品は、絶対にその原作を好きな人しかとやらないと思うんです。だからこそ、そこは安心していただきたい部分ではあります。演じる立場からすると、「実写が残念になる」と言われたり、様々な実写化作品が増えていったりするなかで、それを成功に導くのはすごく大変なことだと思います。でも逆にそれがやりがいだと感じる部分でもあるんです。原作ファンの方々を裏切らないようにする一方で、原作とまったく同じことはしないようにする。そのバランス感覚が大事なのではないかなと。原作の絶対に変えてはいけない部分を受け継ぎながらも、そのなかで自分らしさを出すように心がけています。

ーー今回の心美に関しても自分らしさを出すことができた?

橋本:でも自分らしさって、自分ではわからないものだと思うんです。ちょっと矛盾してしまうかもしれないのですが、演じるときに何か特別なことを持ってきて自分に被せていくというよりは、共通点を見つけていったり、溶け込ませていったりするほうが近いかもしれません。何かを身につけていくというより、剥いでいく。だから何かハッキリと“これが今回の私らしさ”とは言えませんが、“橋本環奈が演じた照橋心美”全体をとおして、私らしさを感じてもらえるのではないかなと思います。

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