>  >  > 『監獄のお姫さま』圧巻のスタートダッシュ

宮藤官九郎が描く“現代のおばちゃんたち” 『監獄のお姫さま』一筋縄ではいかない幕開け

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 とんでもないドラマが始まった。ドラマ『監獄のお姫さま』(TBS系)の第1話が、いよいよスタートしたのだ。TBSの火曜10時といえば、立て続けに話題作を生み出してきたドラマ枠。“監獄の……“というタイトルから、刑務所があり、囚人服を来た主演の小泉今日子らが登場するのだろうと、身構えていたところに、日曜朝のニュースバラエティ『サンデー・ジャポン』のセットがドーン! 主演よりさきに爆笑問題が「生放送でお送りします」と言われたときの肩すかしったらない。

 初っ端からループ再生することで、このドラマが細部まで作り込まれているのが伺える。そして、財テク(菅野美穂)、姉御(森下愛子)、女優(坂井真紀)、先生(満島ひかり)と、ニックネームで呼び合う中で、ひとりだけ馬場カヨ(小泉今日子)と本名で呼ばれてしまう主人公の滑稽さ。一つひとつのやり取りに、思わず視聴者がツッコミたくなる笑いと情けなさが漂うのだ。一筋縄ではないかないオープニングから、まさに宮藤官九郎ワールド全開。圧巻のスタートダッシュだ。

 物語は、ひとつの誘拐事件から幕を開ける。刑務所で知り合った馬場カヨら出所仲間は、今も服役中の姫(夏帆)の冤罪を晴らすべく、濡れ衣を着せた元夫・板橋吾郎(伊勢谷友介)の息子・勇介(前田虎徹)を誘拐し、罪を告白させようともくろむ。だが、5年かけて練り上げたという作戦にも関わらず、次々とポンコツミスが勃発。ついに誘拐できたと思った勇介はカワイイ見た目に反して口が悪くて扱いにくく、吾郎も素直に要求には応じない。「冷静に、冷静に」と言い聞かせながら、なんとか吾郎を拘束することができたのだが……。

 火曜10時枠のドラマは、これまでも多様性をみとめる作品が多かった。現代を生きる私たちにとって、「結婚とはこういうもの」「大人になったら夢を諦めて現実を生きるもの」など、「こういうもの」と決めつける“呪い“に縛られなくてもいいのでは?という問いかけが、生きにくさを感じる人たちの優しい木漏れ日となってきたように思う。

 そう考えると、初回の誘拐実行日が「クリスマスは幸せな1日でなくてはならない」という押し付けをはねのけるところからスタートしているようにも思えてならない。家族と一緒に暮らすことができないでいる馬場カヨの哀愁を際立たせる。吾郎も、一見すると笑顔なのに目が泣いていた。「どうしてこうなっちゃったんだろう」というのは、誰もが一度は抱いたことのある焦燥感なのではないだろうか。

 宮藤官九郎は、本作を「おばちゃんトークが書きたくて書いた」という。もしかしたらこのドラマは「現代のおばちゃん」を、考えるきっかけになるかもしれない。私たちは「おばちゃん」という言葉に、どんなイメージを抱いているだろうか。おせっかいで、感情的で、騒がしくて……どこか“冷静じゃない“印象が先立っているかもしれない。どんな美少女も、やがておばちゃんになる。小泉今日子は80年代を代表するアイドルだったし、主題歌を歌う安室奈美恵もかつて10代のカリスマだったが、気づけば40歳。先生こと満島ひかりが語る「もとには戻らないんです」という言葉が、時間の不可逆性を強調する。時間は誰にでも平等に流れるのだ。

      

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