綾瀬はるか、“強すぎる女性像”でイメージ一新 金城一紀『奥様は、取り扱い注意』の新しさ

金城一紀が提言する新感覚ホームドラマ

 金城自身もTwitterで「喜怒哀楽の詰まったストーリーがあり、俳優の身体(アクション)があり、といったエンタメは日本ではなかなか少ないのですが(特に女性が主人公の作品は)、『奥様は、取り扱い注意』は新しい道を切り開いていきたいと思っています」と語っているように、元工作員という非現実的ともいえる背景がありながら、DVというシリアスかつ現実的な問題を切るというアンバランスさ。見事なまでのアクションシーンも含め、まさに新感覚のホームドラマと言えるだろう。

 そして、優しくて顔面高偏差値の夫と結婚し、閑静な住宅街に一軒家を持つという、いわば“女性の幸せ”と言われるものを一気に(ドラマ開始から数分で)手に入れたにもかかわらず、刺激を求めてしまうという菜美に垣間見える人間の欲深さは、苦々しくもリアル。さらに、幸せだけど平凡な毎日に「刺激がほしい」というのは、専業主婦の誰もが一度は抱く願望なのかもしれない。


 「昼顔妻」という言葉が社会現象になるなど、かつて平日の昼間に刺激を求める主婦たちが話題となったが、やり方は違えどどうやらこの『奥様は、取り扱い注意』にも似たような感覚がありそう。自分は不倫などしない。けれども不倫ドラマにドハマリしまうのと同様の原理で、時に主婦を辞めて自由に活躍する菜美は、奥様たちの欲求を満たす代行者として今後ますます共感を呼びそうだ。

 それにしても硬派なイメージのある西島の声高な「ただ~いま~」は、あまりに衝撃的だった。もちろん、そんな勇輝と菜美の新婚ぶりも、主婦の欲求を満たしてくれる要素のひとつであるに違いないが、“友達と共同で”IT企業を経営しているという勇輝にも怪しいムードがプンプン漂っている。彼には一体、どんなヒミツが隠されているのだろうか。第1話を終えた時点で、早くもワクワクが止まらない。

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■放送情報
『奥様は、取り扱い注意』
日本テレビ系にて毎週水曜夜10時~
出演:綾瀬はるか、広末涼子、本田翼、中尾明慶、銀粉蝶、石黒賢、西島秀俊
原案・脚本:金城一紀
演出:猪股隆一ほか
制作協力:AXON
製作著作:日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/okusama/

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