高杉真宙×葉山奨之コンビは池松壮亮×菅田将暉コンビを超えるか? 『セトウツミ』ドラマ版への期待

『セトウツミ』映画からドラマへ

 10月13日よりテレビ東京ドラマ25にて『セトウツミ』が放送される。

 この作品は「別冊少年チャンピオン」で現在も連載中の此元和津也による漫画が原作で、2016年には池松壮亮と菅田将暉を主演に迎え、映画化もされた。関西の男子高校生である内海と瀬戸が放課後にただただ喋るだけという非常にシンプルなストーリーだが、エピソードの中に散りばめられた青春の切なさと、作品の中を流れる軽妙なテンポが素晴らしい作品である。

 今回のドラマ版では、内海役を高杉真宙、瀬戸役を葉山奨之、ヒロイン樫村役を清原果耶が演じることが発表されている。また、映画版には登場しなかったキャラクター、瀬戸と内海の同級生田中役を『ちはやふる』の森永悠希、瀬戸に告白をする高校1年生ハツ美役を片山友希が演じることが決定し、今をときめくフレッシュな配役に、期待せざるを得ない。

 “話すだけ”というストーリーであるが故、作品で最も重要な要素である主人公二人についてまず簡単に説明しておこう。

 内海は頭脳明晰、容姿も良いが、瀬戸が物語の中で言っている言葉を借りれば、「とにかく暗い」。クラスの中でも浮いている存在で、部活も入っていない。もちろん友達もいない。放課後に塾に行く予定はあるが行く気が起きず、川沿いでぼーっと座っていたところ、瀬戸と出会うという設定だ。一方瀬戸は、明るく容姿もそれなり、友達もいるが、とにかく根性がない。サッカー部を辞め暇していたところ内海に出会い、二人はそれぞれの暇つぶしのため、放課後にただ話すという日々を送ることになる―。

映画『セトウツミ』(C)此元和津也(別冊少年チャンピオン)2013 (C)2016映画「セトウツミ」製作委員会より

 こうして二人のスペックを改めて表記しても分かるが、内海と瀬戸は、本当にどこにでもいるような二人である。時間はあるが何者にもなり切れない閉塞感や、今後の人生を大きく左右する大学受験を控えているという切迫感を感じながらも、しかしだからと言って暗くなるわけではなく、底知れぬ明るさも持ち合わせているという十代特有の危うさを、二人の会話と立ち振る舞いからひしひしと感じることが出来る。池松のニヒルな表情の中に見え隠れする素直さ、菅田の明るく単純な高校生らしい振る舞いの中に見える鋭さと成熟さ。それぞれのキャラクターの性質を見事に表現した二人の演技は圧巻だった。

 また、映像としてこの作品を捉え直す時、二人が画面の中央に位置しているという構図は漫才のようにも見える。作品の舞台も関西なので小気味よい関西弁も相まって益々そう感じるが、『セトウツミ』で描かれるのは、劇場ではなく“日常”である。揺れる木々、背景に走って行く車、誰もが見たことのある住宅街の風景などをはっきりと写すことで、ある意味で映画としての画面ではなく、いま目の前で起きている出来事のように感じることが出来るのだろう。また、走っていく車の音、人の足音など、音声もあえてしっかりと残すことで、その臨場感が増していたようにも感じる。こういった演出は、映画版の監督を務めた大森立嗣監督の素晴らしいセンスが発揮されていた部分だった。

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