“全員主役”はまるでウータン・クラン!? ヒップホップ文脈で読み解く『HiGH&LOW』の真意

ヒップホップ文脈で読み解く『HiGH&LOW』

「もしかしたら総合プロデュースを務めているEXILE HIROさんは、EXILE TRIBEという構想が出来上がったときから、この映画のことまで考えていたのかもしれません。日本の芸能界の枠組みだと、アメリカのヒップホップ界では当然にあったクルーやポッセという概念を、そのまま実現することは難しかった。

 たとえばAKB48も大人数でそれぞれにキャラクターがあるけれど、メンバーそれぞれの所属事務所は違いますし、映画を作るとしてもドキュメンタリーになるか、『マジすか学園』のようにどうしても人気メンバーにスポットが当たる作品になっています。そしてメンバー同士は競い合う関係性で、クルーにはならないんですね。

 しかし、LDHの場合は所属アーティストがみんな同じ世界観を共有しつつ、メンバーそれぞれが個性を発揮していて、だからこそEXILE TRIBEという大規模なクルーをメジャーな音楽シーンの中で実現することができた。

 そして、それをそのままフィクションに置き換えたのが『HiGH&LOW』であり、まるで『アベンジャーズ』のように“ユニバース”を形成することに成功しています。これは非常に画期的で、この方法論であれば今後、たとえばチームひとつひとつのストーリーを描くなど、さらに世界観を広げていくことが可能です。

 なにを持ってヒップホップの表現とするかは難しいけれど、僕は従来的な価値観をひっくり返すところにこのジャンルの醍醐味があると考えています。そういう意味では、『HiGH&LOW』は本来のヒップホップの持つフィクショナルな面白さをきちんと採り入れることで、日本の従来のヒップホップに根付いた固定観念をひっくり返している。これこそが僕にとってはヒップホップ的なものだと思いますし、今後の日本のヒップホップシーンにとっても興味深いコンテンツだと思います」

(文=松田広宣)

■公開情報
『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』
全国ロードショー中
企画プロデュース:EXILE HIRO
脚本:平沼紀久、渡辺啓、福田晶平、Team HI-AX
監督:久保茂昭、中茎強
アクション監督:大内貴仁
出演:
【山王連合会】岩田剛典・鈴木伸之・町田啓太・山下健二郎・佐藤寛太・佐藤大樹・八木将康・岩谷翔吾・山本彰吾
【White Rascals】黒木啓司・遠藤雄弥・稲葉友・柳俊太郎・鬼龍院翔・喜矢武豊・歌広場淳・樽美酒研二/廣瀬智紀・松田凌・西川俊介・西村一輝
【鬼邪高校】山田裕貴・鈴木貴之・一ノ瀬ワタル・鈴木昂秀・龍/前田公輝/青木健・清原翔・陳内将
【RUDE BOYS】窪田正孝・佐野玲於・ZEN・永瀬匡・佐野岳
【達磨一家】林遣都・阿部亮平・小澤雄太/水野勝・田中俊介・守屋光治
【苺美瑠狂】小島藤子・工藤綾乃・楓・佐藤晴美・山口乃々華・城戸愛莉
【DOUBT】中村蒼・秋山真太郎・武田航平
【MIGHTY WARRIORS】ELLY・大屋夏南・野替愁平・白濱亜嵐・ANARCHY/NAOTO・関口メンディ―・LIKIYA・祐真キキ
【雨宮兄弟】TAKAHIRO・登坂広臣/斎藤工
【ムゲン】AKIRA・青柳翔・髙谷裕之・岡見勇信/井浦新
【九龍グループ・会長】津川雅彦・岩城滉一・岸谷五朗・加藤雅也・笹野高史・髙嶋政宏・木下ほうか・中村達也・早乙女太一
【九龍グループ・組員】小林直己/武田幸三・黒石高大/夕輝壽太/尚玄/橘ケンチ・小野塚勇人・白石朋也・荒木秀行/渡邉紘平
岩永ジョーイ・中谷太郎・JAY・武尊・城戸康裕
天野浩成・藤井萩花・藤井夏恋・坂東希・池上幸平・中井ノエミ・葉加瀬マイ
長谷川初範・渡辺裕之・矢島健一・堀部圭亮・斎藤洋介・鈴木梨央/YOU/飯島直子/豊原功補/小泉今日子
配給:松竹
製作:「HiGH&LOW」製作委員会
(c)2017「HiGH&LOW」製作委員会
公式サイト:http://high-low.jp

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