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脚本家・演出家/登米裕一の日常的演技論

『コード・ブルー』山下智久の演技はなぜ心を掴む? 等身大の悩みに寄り添う「静」の演技

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 若手の脚本家・演出家として活躍する登米裕一が、気になる俳優やドラマ・映画について日常的な視点から考察する連載企画。第20回は、現在放送中のドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』で主演を務める山下智久の演技について。(編集部)

 山下智久さん、新垣結衣さん、戸田恵梨香さん、比嘉愛未さん、浅利陽介さんらが再集結を果たし、ドラマ『コード・ブルー』が 3rdシーズンを迎えた。2ndシーズンから7年が経過し、主演の山下さん演じる藍沢は脳外科医となっていた。そんな彼が再び救命センターに戻ってくるところから物語が始まった。

 『コード・ブルー』の魅力は数多いが、中でも特筆すべきは“等身大の人物”が描かれているところではないだろうか。主演のキャラクターをどうするかでドラマの質感は変わるため、キャラクター設定は時間をかけて打ち合わせされることが多い。特に医療ドラマの場合、圧倒的なインパクトを持ったキャラクターを真ん中に置く場合が多く、腕はあるけれど周りを振り回すタイプであったり、強い野心で地位に固執したり、と言ったいわゆる孤高の天才タイプか、あるいはその逆で患者のために奔走し、たびたび医局や日本の医療事情の現実と衝突をする人情派の純粋タイプが、主演や準主演のキャラクターとなる。

 しかし『コード・ブルー』はそのどちらでもない。山下さん演じる藍沢は医師の腕はあり、多少“ツン”なところはあるけれど、ぶっ飛んだキャラクターではない。そうかといって人間味はあるけれど、ほとんど感情の発露もない。迷い、葛藤、微笑みなどを一瞬浮かべる程度であり、学年に1人はいそうなキャラクターなのである。

 ドラマは、基本的に人の感情が動いている“瞬間”を描こうとするものだ。そのため医療ドラマでは、主人公を天才型にして周囲の人間の感情をかき乱すか、純粋型にして主人公自身の心をかき乱すかという形がとられやすいのだが、『コード・ブルー』は違う。出演するキャラクターはみんな、等身大の悩みを抱えており、物語の中心で藍沢はその等身大の悩みを持った人々を見つめる。主演でありながら受け身のようにただ寄り添う役である。

 眼差しの芝居とでも言うような役どころで、実際に山下さんのセリフを数えると、各話ゲストや他のレギュラー出演者よりも少ない。喋っている人の横で感情を吐露する人間を受け止める。そして受け止めたことによりほんの一瞬だけ藍沢の表情が変化する。時に曇りの表情を浮かべ、時に微笑む。ドラマとしてはとても地味な瞬間ではある。

 「静」の時間とでもいうべきその瞬間は、ドラマ全体が救命救急の現場を描くためにカット割りも多く、「動」の瞬間を主軸に作られているからこそ、メリハリとして成立する。そしてその「動」と「静」の中心にいるのが山下智久さんなのだが、誤解を恐れずに書くのなら、いい意味で山下さん主演のドラマであるということを忘れさせてくれるのだ。

 等身大の人間が等身大の人々を見つめるーー誰しもが人生の主人公であることを教えてくれるこのキャラクター設定は、『コード・ブルー』の在り方としてとても正しいことのように感じられるのである。

■登米裕一
脚本家・演出家。映画『くちびるに歌を』CX『おわらないものがたり』NHK『謎解きLIVEシリーズ』などの脚本を担当。大学時代に旗揚げをした劇団『キリンバズウカ』の主宰も務める。個性豊かな登場人物たちによる軽快な会話の応酬を持ち味としており、若手作家の躍進著しい演劇界の中でも、大きな注目を集める。また演技指導家としても評価を得ており、現在多くのワークショップ依頼を受けている。

■放送情報
『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』
フジテレビ系にて毎週月曜21:00~放送
出演:山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、成田凌、新木優子、馬場ふみか、寺島進、杉本哲太、りょう、安藤政信、椎名桔平ほか
脚本:安達奈緒子
音楽:佐藤直紀
主題歌:Mr.Children「HANABI」(TOY’S FACTORY)
プロデューサー:増本淳
協力プロデューサー:中野利幸
演出:西浦正記(FCC)、葉山浩樹、田中亮
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/codeblue/index.html

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