ドレスコーズ志磨遼平、映画『ギミー・デンジャー』を語る 「ストゥージズは僕の人生を変えてくれた」

志磨遼平、映画『ギミー・デンジャー』を語る

「イギーの“クール”は、ロックンロールを好きになった人だけに与えられる称号」

志磨遼平

ーードレスコーズは8月24日にライブ映像作品『公民』をリリースしたばかりですが、例えば今後このようなバンドのドキュメンタリーが出るとなった場合、この人に撮ってほしいみたいな願望はありますか?

志磨:それは考えたこともなかったですね! どなたがいいんでしょうかね……。それこそ毛皮のマリーズの最後のライブドキュメンタリーは、フィッシュマンズの『THE LONG SEASON REVUE』を撮った川村ケンスケさんに撮っていただいたんですけど、やっぱり自分が関わったことのある監督に撮ってもらうのであれば『スーパー、スーパーサッド』のMVを撮ってもらった松居大悟くんとか、『溺れるナイフ』に出演させてもらった山戸結希さんとか。イギーとジャームッシュじゃないですけど、彼らと自分の間にはシンパシーみたいなものがあるので、撮ってもらえればきっとそれは素敵になると思いますね。

ーー今回の作品で初めてストゥージズのことを知る人もいるかもしれません。最後に志磨さんが考えるストゥージズ、イギー・ポップの魅力を教えてください。

志磨遼平

志磨:僕の人生を変えたのはまぎれまなくストゥージズだったわけで、イギーがスピーチでも言っていたように、ロックンロールというものは魅力を語るのが難しいんですけど、「覚悟を持ってダメになれる」人間というか、そういう者だけが得られる輝きがあるんです。それが、映画の最後にイギーがスピーチする「クール」かどうか、だと思うんです。どうせならどん底まで落ちてやる、もうどうなってもいいやという感じ。言葉にするとすごく陳腐ですけど、「Nothing to lose(失うものは何もない)」なんです。本当に世の中のすべてのことがどうでもいい人間がやる、唯一のどうでもよくないことがロックンロールなんです。だからあんなにボロボロになってまでツアーも周るし、70歳になった今でもまったく衰えずあんな風にステージに立っている。それはイギーだけではなく、僕が好きなロックスターみんなに共通していることなんです。イギーが言う「クール」も、ロックンロールを好きになった人だけに与えられる称号なんだと思います。決して真っ当ではないですが、ロックンロールの何がカッコいいかって、なぜだかああいう風に生きることがカッコいいと思えてしまうことなんですよね。『ギミー・デンジャー』はそれを再認識できる映画だと思います。

(取材・文=宮川翔/写真=伊藤惇)

現在公開中のもう1本のジム・ジャームッシュ監督作『パターソン』予告編

■公開情報
『ギミー・デンジャー』
9月2日(土)新宿シネマカリテほか全国順次公開
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:イギー・ポップ、ロン・アシュトン、スコット・アシュトン、ジェームズ・ウィリアムスンほか
提供:キングレコード、ロングライド
配給:ロングライド
2016年/アメリカ/英語/108分/アメリカンビスタ/カラー、モノクロ/5.1ch/PG12
(c)2016 Low Mind Films Inc
公式サイト:http://movie-gimmedanger.com

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