『過保護のカホコ』竹内涼真がおにぎりを頬張りながら涙 家族の愛を知った瞬間

『過保護のカホコ』竹内涼真が知った家族の愛

 『過保護のカホコ』(日本テレビ系)において、加穂子(高畑充希)が初(竹内涼真)を母親に会わせることは物語における重要な鍵であった。幼少期に母親に捨てられ、養護施設で育った初は、一人で生きてきた分、人の価値観に縛られない、自分の言葉をいつも持っているものの、家族の愛を知らない。それは、加穂子にあって、初にないものでもある。第8話では、ついに初が生き別れの母親と対面。母親の愛を感じた初は、加穂子の前で初めて涙と弱さを見せる。

 初が7歳の時に家を出て行った母親は、ギャンブルがやめられない父親の借金に苦しみ、覚せい剤に手を出していた。生きることに疲れ、共に死のうと初の首を絞めようとした時、彼の手に握られていたのが赤の絵の具だった。この絵の具は、加穂子と初が出会うきっかけでもあり、彼が宝物のようにずっと握り締めていたものだ。母親は、刑務所を出所した後も同じ過ちを繰り返した。更生施設に通い、そこで出会った男性と新しい家庭を築く。初は、このことを施設の園長が受け取っていた母親の手紙により知るが、頭が回る彼のことだろう。向かうバスの中で、腹は決まっていたのだと思う。

 「いつかあなたに負けない素っ晴らしい家族を作りますから。だから、これからもずっと幸せでいねぇと許さねぇぞ、てめぇ。みたいな感じで。そんじゃ」。自分のことを捨て、何十年も生き別れていた母親に向けた、憎しみと、強がりと、愛が込められた初なりの言葉だ。そして、“素っ晴らしい家族”というワードは隣にいる加穂子へ向けられた思いでもある。

 帰路につくバス停で、初は加穂子の作ったおにぎりを食べ、彼女の胸の中で号泣する。初にとっておにぎりは母親が家を出て行った時に、置き手紙と共にあった食べ物であり、トラウマでもあった。おにぎりを食べたということは、母親とのトラウマを乗り越えたということであり、その先に待っていたのが加穂子であった。赤子のように泣き、「もう別れるなんて言わないでくれよー!」と叫ぶ初。「もうどこにも行かないでくれよ。加穂子がいないと自分が嫌になるんだよ。自分が生きているこの世界が嫌になるんだよ」。そう言って、初は加穂子の両親に結婚することを懇願することとなる。

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