全4話一挙配信中! 宮藤官九郎の遊び心全開、Huluオリジナル連続ドラマ『山岸ですがなにか』

 ドラマ評論家・成馬零一による連載“成馬零一の直球ドラマ評論”。今回は、本日ついに最終話となる第4話が配信された、Huluだけで観ることができるオリジナル連続ドラマ『山岸ですがなにか』をレビュー。SNSでも話題で、熱狂的なファンが増え続けている本作の見どころを考察する。(編集部)

 昨年放送された連続ドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)は、ゆとり第一世代と言われる坂間正和(岡田将生)たち20代後半の若者たちを主人公にした青春群像劇。

 脚本を担当するのはクドカンこと宮藤官九郎。連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)を筆頭とする数々の名作ドラマを手がけてきたコメディドラマの名手だが、『Mother』や『Woman』(ともに日本テレビ系)といった坂元裕二脚本のシリアスな社会派ドラマを手がけた水田伸生がチーフ演出を務めた本作は、社会派コメディドラマとなっており、今の若者たちのリアルな姿を捉えて、宮藤の新境地となった。

 7月2日と9日には、SPドラマ『ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編』が前後編に分けて放送され、こちらも大好評だった。しかし、すぐに終わってしまったため、連続ドラマで観たかったという意見が多く、ファンの間ではゆとりロスが発生している。

 そんな、ゆとりロスの方々に是非ともおススメしたいのが、オンライン動画配信サービスHulu(フールー)で配信中の『山岸ですがなにか』(監督・鈴木勇馬)である。

 ゆとりモンスターこと山岸ひろむ(太賀)に焦点を当てた本作は、虚構と現実が交差するコメディドラマ。シリアス度が高いテレビドラマとは違った、遊び心が全開のクドカンらしい作品となっている。

 テレビドラマ『ゆとりですがなにか』のAP(アシスタント)として働く須藤は、番組の取材で知り合ったゆとり世代の山岸のことを取材するため接近していくうちに、いつの間にか付き合うことになっていく……。

 須藤を演じる佐津川愛美は、昨年公開された映画『ヒメアノ~ル』で森田剛が演じる異常殺人者に狙われる女の子の役を好演。テレビドラマでは『ギャルサー』(日本テレビ系)などに出演している。真面目でいい子なんだけど、ちょっと我が強くて、めんどくさいところのある若い子を演じさせると、右に出るものはいない女優だ。今までは、どちらかというとシリアスな役の印象が強い佐津川だったが、クドカンドラマということもあってか、コメディ寄りの弾けたキャラクターとなっており、新たな魅力を見せている。

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