『パイレーツ・オブ・カリビアン』新作の裏テーマーー“家族の絆”と“単身者の孤独”を読む

新作『パイレーツ~』が描く“光と影”

 実話を含む多くの物語において、“家族の絆”は美談とされがちだ。だが、そんな美談を前に、家族を持たない、もしくは家族に縛られていない単身者はどのような顔をすればいいだろうか? もちろん、家族を持たずとも人生を謳歌することはできるだろう。しかし、自身ではそうした生き方を善としていても、家族や愛を重んじる世間の風潮を目の当たりにすれば、どこか後ろめたさや侘しさが生じることだってあるかもしれない。そんな折に生じた一瞬の心の迷いが、「ゾッとする」というジャックの言葉に現れていたように思う。

 愛や家族の絆は素晴らしいものだ。だが、本作のラストシーンでは、そうした“世間一般が善とするもの”の背後に生じる影もチラついていたのではないだろうか。

■まにょ
ライター(元ミージシャン)。1989年、東京生まれ。早大文学部美術史コース卒。インストガールズバンド「虚弱。」でドラムを担当し、2012年には1stアルバムで全国デビュー。現在はカルチャー系ライターとして、各所で執筆中。好物はガンアクションアニメ。Twitter

■公開情報
『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』
全国公開中
出演:ジョニー・デップ、ハビエル・バルデム、ブレントン・スウェイツ、カヤ・スコデラリオ、ケヴィン・R・マクナリー、ジェフリー・ラッシュ
監督:ヨアヒム・ローニング、エスペン・サンドベリ
脚本:ジェフ・ナサンソン
ストーリー:ジェフ・ナサンソン、テリー・ロッシオ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題:PIRATES OF THE CARIBBEAN: DEAD MEN TELL NO TALES
(c)2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:http://www.disney.co.jp/movie/pirates.html

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