高杉真宙×葵わかな×清水尋也『逆光の頃』鼎談 清水「力を合わせてひとつの作品を作り上げた」

『逆光の頃』インタビュー

ーーでは、タナカカツキさん原作の世界観を実写化することに対しての難しさや面白さなどはありますか?

高杉:漫画を読ませていただいたのですが、本当に独特だなと思いました。世界観はもちろんのこと、詩的なセリフや、絵画のような絵、漫画というよりも芸術的な作品という印象です。どうやってこの雰囲気を崩さずに実写映画化するのか、正直不安でしたね。ですが、京都という独自性が強い地域でオールロケを行ったからこそ、原作をしっかりと生かした作品を作り上げることができました。

清水:すでに形があるものを実写化するのは、どんな作品であれ強いプレッシャーがあります。特に『逆光の頃』は真宙も言っていましたが、とても芸術性が高く、娯楽という枠組みでは括れない作品という印象です。色々な制約がある中で、どこを壊しどこを残すのか、何を足し何を引くのか、そういった塩梅を自分の中で明確に定めなければいけないな、と。同時に、娯楽だけでは形容しきれない何かを本作の中に散りばめたいとも思いました。実際に完成した映画をみたときに、映画なんだけどアート的な要素が強く、形は違えどしっかりと原作を引き継げたのかなと思い、安心しました。

葵:小林監督が、“原作を忠実に再現すること”に最も重きを置いていました。みことに対しては特にキャラクターを求められているという印象です。最初に小林監督から「手を振るにしても、手の角度や振る早さなど、そういう動作ひとつ一つでみことを表現してほしい」と言われていました。みことは男性の視点から見た女の子なので、女性の私からしたらあまり現実味がないキャラクターです。でもだからこそ、絶対的ヒロインのみことでいることで、原作の世界観からはみ出さないのかなとも思いましたね。細かい演出が多く、可愛らしさをとにかく求められました。生身の私が、二次元のみこと像を壊さずに演じるというのはすごく難しかったですね。

(取材・文・写真=戸塚安友奈)

■公開情報
『逆光の頃』
新宿シネマカリテほか全国順次公開中
脚本・監督:小林啓一
原作:タナカカツキ「逆光の頃」(講談社「モーニングKC」所載)
出演:高杉真宙、葵わかな、清水尋也、佐津川愛美、桃月庵白酒
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
(c)タナカカツキ/講談社・2017東映ビデオ/マイケルギオン (c)原作/タナカカツキ「逆光の頃」(講談社「モーニングKC」所載)
公式サイト:gyakko.com

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