JUMP知念侑李『忍びの国』で見せた表現力の豊かさ 憧れの大野智と共演が示す未来

JUMP知念侑李、時代劇への適性の高さ

 夏休み興業の先陣を切って7月1日から公開された映画『忍びの国』。人気作家・和田竜が、『のぼうの城』に引き続き原作と脚本を務めた時代劇エンターテインメントだ。週末動員ランキングでこそ、ロケットスタートを切った『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』の勢いに屈して2位スタートとなったが、夏休み映画らしい幅広い世代に支持されるタイプの作品だけに、息の長いヒットが予想される。

 本作で注目したいのは、主演の忍者・無門を演じる嵐の大野智と、敵対する武将を演じるHay!Say!JUMPの知念侑李という、ジャニーズの人気アイドルグループのメンバーふたりの共演である。これまでジャニーズアイドルの出演映画となると(生田斗真や風間俊介、高田翔といった俳優メインの活動をしているジャニーズを除けば)、友情出演として先輩や同じグループのメンバーが出演したり、キャリアの浅いJr.メンバーを端役に抜擢したりすることはあったが、一線級で活躍する別のグループのメンバーがメインロールで共演することは珍しかった。

 ところが、今年に入ってからは『破門 ふたりのヤクビョーガミ』で関ジャニ∞の横山裕とジャニーズWESTの濵田崇裕が共演。現在公開中の『こどもつかい』では滝沢秀明とHey!Say!JUMPの有岡大貴が共演するなど、これまでの慣例が徐々に変化してきているのだ。

 同じような時期が10年以上前にもあった。2005年に公開された映画『東京タワー』では、V6の岡田准一と嵐の松本潤が共演。同作を契機に岡田は俳優として日本映画界のトップを走る存在にまで成長した。一方で、松本は同作の直後に『花より男子』(TBS系)で一世一代の当たり役をゲットし、アイドル俳優としての成功を果たす。また同じ年にはTOKIOの国分太一とKinKi Kidsの堂本剛が共演した『ファンタスティポ』も公開。その頃からTOKIOはアーティストとしての色を強くし、ジャニーズ内では新しい世代のグループの活躍が目立ちはじめてきたのである。

 となれば、この2017年に再びグループの垣根を超えた共演が相次いでいるのは、ジャニーズアイドルの次世代へのシフトが始まっているということにほかならない。SMAPの一連の騒動が収束した今、大野がリーダーを務める嵐は国民的アイドルグループから、事務所を牽引する万能グループへと成長し、知念が俳優活動をこなしていくことで、Hey!Say!JUMPの知名度はより上がっていくに違いないだろう。

 もともと知念侑李はJUMPの中でも、最も俳優としての才能を持つメンバーのひとりだ。同グループ内には『ピンクとグレー』でジャニーズらしからぬ体当たりな演技が評価された中島裕翔や、正統派ジャニーズアイドルとして輝きつつも一昨年の『グラスホッパー』で開眼した山田涼介がいるが、明確に住み分けがされているのは、カラーの違うメンバーが集まったJUMPの最大の強みだろう。

 2014年からは東山紀之が主演を務めた『必殺仕事人』シリーズ(テレビ朝日系)に抜擢され、一昨年には大ヒット作『超高速!参勤交代』では弓術に長けた家臣を演じるなど、ジャニーズの若手の中でずば抜けた時代劇への適性の高さを見せる知念。彼はステージ上で見せるアイドルとしての魅力と、演技の場で見せる俳優としての素質を巧みにスイッチすることができる、正統派のジャニーズ俳優というわけだ。

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