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宇野維正の興行ランキング一刀両断!

日本はアメリカ寄り? 中国寄り? 『パイレーツ・オブ・カリビアン』が示す洋画興行の新傾向

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 『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』がすさまじいスタートダッシュをきった。全国989スクリーンという破格のスクリーン数からもわかるように、配給&興行から大きな期待を寄せられていた同作だが、土日2日の動員77万1516人という数字は、邦画を含めて今年の現段階における最高記録。興収では10億4827万1900円と、『美女と野獣』の初週成績10億6536万2800円をほんの少し下回ったが、それは公開日の1日土曜日がファーストデー(映画サービスデー)と重なったため。シリーズ2作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(2006年公開。累計興収100.2億)、3作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』(2007年公開。累計興収109億円)と、過去に興収100億超えの大記録を2度も成し遂げている本シリーズだが、前作から6年ぶり、シリーズ5作目となる今回も日本での変わらぬ人気を証明した。

 結果的に大ヒットとなった本作だが、日本での興行には不安な要素がいくつかあった。一つは、同じジョニー・デップ主演に、同じディズニーの実写作品の続編、そして同じコスチューム劇でもある、昨年同時期(2016年7月)に日本公開された『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』が、前作の興収118億から27.8億と、約76%の急落という散々な結果に終わっていたことだ。それまで「日本でのジョニー・デップ人気は根強い」というのが定説であったが、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのブランド力は、キャストの人気に左右されることがないほど強かったわけだ(もちろん、そのブランド力にはジョニー・デップが変わらずに主役を張り続けていることからくる安心感も大きく寄与しているわけだが)。

 もう一つの不安要素は、5月26日にアメリカで公開された今回の『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』の興行が、予想を下回る成績に終わっていたこと。アメリカでのオープニング成績(5月26日から29日までの4日間)の7600万ドルは、シリーズ1作目の『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』に次ぐシリーズで2番目に低い結果に。初登場1位となった翌週以降、アメリカでは現段階で今年のサマーシーズン最大のヒットとなっている『ワンダーウーマン』に大きく水をあけられてしまった。

 もっとも、ワールドプレミアが上海で行われ、アメリカと同日公開(というか、日本以外のほとんどの国では同時公開だったのだが……)となった中国でのオープニング成績(3日間)は6780万ドルと、本国を上回る絶好調のペース。この数字は、中国における歴代3位の記録となった。本作の現段階における世界興収の中で占めるアメリカ国内の割合は23.4%(Box Office Mojo調べ)。数字の目安として、アメリカ国内での興行比率が30%を下回ると「国外型興行」と言ってもいいが、今回の日本での大ヒットを受けて、本作はその数字が限りなく20%へと近づいていく見込みだ。

      

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