30代俳優がドラマ界を変える? 小栗旬&金子ノブアキ『CRISIS』再共演の意義

30代俳優の革命が今後の映像業界を変える?

 ちなみに、その下の世代の俳優を見てみると、1989年生まれの岡田将生を始め、松坂桃李、柳楽優弥、佐藤健、東出昌大、永山絢斗、窪田正孝、三浦春馬といった顔が並ぶ。現在27歳前後の彼らは、岡田、松坂、柳楽がドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)で共演したことで認知されたように、いわゆる“ゆとり世代”。これまでは独立独歩でキャリアを築いてきた感があり、「僕達は同世代と組む機会があまりなくて、小栗さんたち先輩がうらやましかった」という言葉も聞いたこともあるが、『ゆとりですがなにか』は好評を得てスペシャルドラマに(7月2日、7月9日放送、日本テレビ系)。小栗旬が金城一紀と組んでいるように、彼らが宮藤官九郎というクリエイターと組むようになったことは大きい。4月クールでも、岡田が『小さな巨人』(TBS系)で、東出が『あなたのことはそれほど』(TBS系)で存在感を見せたように、今後、着実に主演クラスへとステップアップしていくだろう。

 さらに5つほど下の年代は“さとり世代”とも呼ばれるが、1993年生まれの菅田将暉を始め勢いのあるメンバーがそろっている。この春、ヒットした『帝一の國』のキャスト陣である菅田、竹内涼真、野村周平、間宮祥太朗、志尊淳、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(8月4日公開)で共演する山崎賢人や神木隆之介、さらには福士蒼汰や成田凌もいて、層が厚い。同じ学園ものにしても、昭和生まれの小栗世代はいわゆる“ツッパリもの”である『クローズZERO』でブレイクし、その10年下、平成生まれの菅田たちは『帝一の國』でエリート優等生たちを演じたというのは、分かりやすい時代の変化とも言える。俳優間で交流があり、すでに同世代ネットワークが確立している彼ら。今後は金城や宮藤のように、この年代ならではの物語を書いてくれるクリエイターが現れるかどうかが、飛躍のポイントになりそうだ。

 世代分析になってしまったが、どの年齢でも俳優自身が発信する、またはみずからクリエイターをバックアップするという動きが続けば、視聴率を気にするあまり思い切ったことができずにいるドラマ業界にも新しい風が吹くのではないだろうか。『CRISIS』は4月クールで唯一、その可能性を感じさせてくれる作品だった。

■小田慶子
ライター/編集。「週刊ザテレビジョン」などの編集部を経てフリーランスに。雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当。映画のオフィシャルライターを務めることも。女性の生き方やジェンダーに関する記事も執筆。

■放送情報
『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』
関西テレビ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
原案・脚本:金城一紀
出演:小栗旬、西島秀俊、田中哲司、野間口徹、新木優子、石田ゆり子、飯田基祐、眞島秀和、野崎萌香、長塚京三
音楽:澤野弘之、KOHTA YAMAMOTO
演出:鈴木浩介、白木啓一郎(カンテレ)
チーフプロデューサー:笠置高弘(カンテレ)
プロデューサー:萩原崇(カンテレ)
制作著作:カンテレ
(c)関西テレビ
公式サイト:www.ktv.jp/crisis/

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