“困り顔”で人気上昇中、工藤阿須賀の魅力とは? 『ちょっと今から仕事やめてくる』の演技を考察

工藤阿須賀の魅力

 高身長にさわやかな笑顔で人気急上昇中の俳優・工藤阿須賀。2012年にドラマ『理想の息子』(日本テレビ系)でデビューすると、コツコツとドラマ、映画への出演を重ね、俳優としてのキャリアを積んできた。そのルックスから、役柄も実直な好青年が多かった工藤だが、最近は進路に悩む“困った顔”が女性ファンを中心に大きな話題となっている。

 工藤は、2016年に公開された映画『夏美のホタル』で、カメラマンを目指しているものの、自身の能力に迷いを感じ、夢を諦めようとする学生を演じた。その際、メガホンをとった廣木隆一監督に対して「映画というもののスタートラインに立たせてもらった」と語っていた。

(C)2017 映画「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会


 当時工藤は「現場で求められることに対して柔軟に対応できなかった。悔しさが残る」と振り返っており、多くの反省点が見つかったことを収穫にあげていた。中でも「自分が心に思った感情と、スクリーンに映った自身の表情が違う」ということを課題にあげ、気持の向き合い方を、より深く突き詰めていきたいと語っていた。

 その後、連続ドラマ『家売るオンナ』(日本テレビ系)では、北川景子演じる冷徹で厳しい上司・三軒家のもと、営業成績が上がらない青年・庭野を演じた。これまで工藤が演じてきた役柄とは違い、気弱でダメな部分も多く、状況によってしっかりと心情を表現できる顔、特に“困った顔”は、「可愛い」と女性の間では好評だった。さらに、連続ドラマ『就活家族~きっと、うまくいく~』(テレビ朝日系)では、就職活動に苦戦する三流大学生・富川光を演じたが、ここでも自身の進路や、次々と降りかかる家族の問題に“苦悩する顔”が印象的だった。

 またどちらの作品も、物語序盤と後半にかけて、人物の成長が描かれており、同一人物ながら顔つきの変化などもうまく表現されていた。まさに、自身が課題としてあげていた“役柄への向き合い方”=“役への理解”をしっかりとつかんだのかなという印象を受けた。

(C)2017 映画「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会


 最新作映画『ちょっと今から仕事やめてくる』でも、ブラック企業に就職してしまい、悩み抜く青年・青山を好演している。青山は、これまで工藤が演じたきたどのキャラクターよりも“困った”状況に追い込まれる役柄で、吉田鋼太郎演じる上司から厳しく追い込まれるさまは半端ない。“困った”を通り越し、目が虚ろな“悲壮感”いっぱいの表情は、みている人が「救いたい」と思ってしまうほど感情移入させる。

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