松江哲明の『イップ・マン 継承』評:古き良きカンフー映画の魅力が詰まった、安心のシリーズ

松江哲明の『イップ・マン 継承』評

 だから3を観ると、もう1回、1と2を見返したくなる。3には、「一生このシリーズを大事にしていこう」という作り手たちの心意気を感じました。2から本作まで随分時間がかかってしまいましたが、これからは毎年作ってほしいですね。

 今後のシリーズ作の山としては、イップ・マンの弟子であるブルース・リーといつ闘うか。史実としてブルース・リーと闘った記録はないと思いますが、映画ファンなら誰もがふたりの闘いを観たい! 「お前はそんな弟子じゃなかったはずだ」と戦う、オビ=ワン・ケノービとルーク・スカイウォーカーの関係性みたいな感じで。そして後日、『燃えよドラゴン』の看板をイップ・マンが感慨深く見る……とか。『イップマン』はもう、そこまでやっていいフィクションの世界観を作っていると思うんです。作り手の自信が強く感じられる3を観て、そんなことを思いました。

(取材・構成=石井達也)

■松江哲明
1977年、東京生まれの“ドキュメンタリー監督”。99年、日本映画学校卒業制作として監督した『あんにょんキムチ』が文化庁優秀映画賞などを受賞。その後、『童貞。をプロデュース』『あんにょん由美香』など話題作を次々と発表。ミュージシャン前野健太を撮影した2作品『ライブテープ』『トーキョードリフター』や高次脳機能障害を負ったディジュリドゥ奏者、GOMAを描いたドキュメンタリー映画『フラッシュバックメモリーズ3D』も高い評価を得る。2015年にはテレビ東京系ドラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』、2017年には『山田孝之のカンヌ映画祭』の監督を山下敦弘とともに務める。山下敦弘と共同監督を務めた『映画 山田孝之3D』が6月16日公開予定。

■公開情報
『イップ・マン 継承』
新宿武蔵野館ほか全国順次公開中
監督:ウィルソン・イップ
アクション監督:ユエン・ウーピン
音楽:川井憲次
出演:ドニー・イェン、マックス・チャン、リン・ホン、パトリック・タム
特別出演:マイク・タイソン
原題:葉問3/2015年/中国・香港/広東語・英語/105分/カラー/シネスコ
配給:ギャガ・プラス
(c)2015 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved.
公式サイト:http://gaga.ne.jp/ipman3/

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