『たたら侍』海外展開への期待 LA日本領事館がバックアップした理由とは?

『たたら侍』海外展開の可能性

 日本のコンテンツ産業や伝統文化などを海外に売り込む「クール・ジャパン戦略」が行われて久しい中、またひとつ米・ロサンゼルスで成果が上がりそうだ。現地時間5月8日にハリウッドのエジプシャンシアターにて開催された映画『たたら侍』のハリウッドプレミアムナイト試写会の模様は、先日、本サイトで伝えた通りである。(『たたら侍』ハリウッドプレミア徹底レポ 「青柳翔は、リーダーであり、親友であり、メンター」)この試写会の成功の背景には、在ロサンゼルス日本国総領事館の協力もあった。舞台挨拶の場で千葉明総領事が、『たたら侍』がハリウッドで公開されることの意義を伝えたほか、現地メディアへの記者会見なども、日本国総領事公邸にて行われたのだ。今回、千葉明総領事に直接コメント取材も行なったので、表敬訪問の際の記者会見の模様と合わせて紹介したい。(メイン写真は左から、EXILE HIRO、AKIRA、青柳翔、千葉明総領事夫妻、小林直己、錦織良成監督)

 監督の錦織良成、エグゼクティヴ・プロデューサーのEXILE HIRO、キャストの青柳翔、小林直己、AKIRAは、ハリウッドプレミアム開催前に、日本国総領事公邸を表敬訪問。千葉明総領事は、「日本の映画、音楽などのコンテンツ産業は大きな伸びしろがある。日本一丸で世界のエンターテインメント産業の都・ハリウッドへ飛躍することが、私の夢でもあり、日本の未来」とHIROらに声をかけ、HIROは、「完成披露試写会をハリウッドで開催できるのは非常に嬉しい。LDH USAが良いスタートを切れた。僕らが日本でやってきた総合エンタテインメントを、こちらの方々に通用するようにアレンジしてやっていきたい。夏にはダンススクールも開校するので、いろいろと教えていただきながら、初心を忘れずに頑張っていきたい」と語った。

 訪れた記者から、今後はアメリカや欧州でどんな展開をしたいかを問われると、HIROは、「LDHが新体制となり、世界展開を目指すことになったのは、事業拡大というより、人と人とのつながりで仲間が増えてきた結果。背伸びせずに、まずはメンバーひとりひとりがしっかりと夢を叶えられるようにしたい。そして、日本にいる子どもたちが世界を目指すときに、その架け橋になれるような組織にしたい。また、現地での人材発掘にも力を入れていきたい。ほかにも、たとえばLDHには飲食業を行うLDH kitchenもあるので、幅広い分野でアプローチができれば。アメリカならアメリカ、ヨーロッパならヨーロッパ、中国なら中国、その国ごとに臨機応変に対応して、楽しみながらやっていきたい」と述べた。

 本作でどんな日本の精神を伝えたいかとの質問に対しては、キャスト陣がそれぞれ「憎しみの連鎖を断ち切るということ」(青柳)、「分をわきまえつつ、自分の役割をまっとうすること」(小林)、「刀を抜かずしてどう人を守るか」(AKIRA)と回答した。また、見どころについてHIROは、「錦織監督は、世界観、映像美、セリフのひとつひとつ、どこを取っても本物を追求している。そのため、見る人によって感じるポイントが違うはず。僕自身も見るたびに違った発見をしている。伝えたいことがたくさん込められているので、全編を通してしっかり見てほしい」とコメント。さらに錦織監督は、「今作では、日本の自然の美しさをフィルムで撮っている。昭和30年代から40年代に先輩方が作った、世界に羽ばたいた映画に原点回帰して、ハンドメイドにこだわった。たとえばアクションひとつ取っても、ワイヤーなどは使わず、身体能力の限界に挑んでやっている。映画を通して、日本のものづくりの姿勢や謙虚さをしっかりと伝えたい」と述べた。

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